Windows 11が突然起動しなくなった場合、これまではUSBインストールメディアを使用してWindowsを再インストールする方法が一般的でした。
しかし、Microsoftは2026年10月28日のWindows 11更新プログラムで、USBメモリを使わずにWindows 11を再インストールできる新機能「Cloud rebuild(クラウドの再構築)」の提供を開始しました。
この機能では、Windowsが正常に起動しない状態でも、Windows回復環境からインターネットに接続し、Windows本体と必要なドライバーをダウンロードして再インストールできます。
ただし、Cloud rebuildには重要な注意点があります。実行するとPC内の個人ファイル、アプリ、設定などが削除されるため、通常の修復機能と同じ感覚で使用してはいけません。
この記事では、Cloud rebuildの仕組み、利用条件、具体的な操作手順、従来の再インストール方法との違い、ライセンス認証への影響まで詳しく解説します。
※本記事は2026年10月30日時点のMicrosoft公式情報に基づいています。機能の提供状況や画面表示はWindowsのバージョン、更新状況、PC環境によって異なります。
Cloud rebuildとは?Windows 11の新しい回復機能
Cloud rebuildとは、Windows UpdateからWindows 11の新しいシステムイメージとデバイスドライバーを取得し、PCを再構築する機能です。
最大の特徴は、USBインストールメディアを使用せず、Windowsが起動しない場合でも再インストールできる可能性があることです。
従来のUSBによる再インストールでは、インストールメディアを用意し、そこからPCを起動してWindowsをインストールする必要がありました。
一方、Cloud rebuildではWindows回復環境(Windows RE/WinRE)を利用して、次の処理を行います。
- Windows回復環境を起動する
- インターネットに接続する
- Windows UpdateからWindows本体と必要なドライバーをダウンロードする
- PC内のデータを削除する
- Windows 11を再インストールする
- Windowsの初期設定を行う
PCにインストールされているWindowsのシステムファイルが破損していても、回復環境が正常に機能していれば、Windowsを再構築できる可能性があります。
2026年10月28日の更新プログラムで提供開始
Microsoftは2026年10月28日、Windows 11 バージョン25H2および26H2向けのプレビュー更新プログラム「KB5127936」で、Cloud rebuildの導入を発表しました。
ただし、機能は段階的に提供されます。対象の更新プログラムをインストールしても、すべてのPCに同時に表示されるわけではありません。
また、Windowsが起動しなくなってから新しい更新プログラムをインストールすることは通常できません。起動不能になる前に、対応する回復機能が利用できる状態になっている必要があります。
提供状況については、Microsoftの公式更新情報をご確認ください。
Microsoft公式:2026年10月28日更新プログラム(KB5127936)
Cloud rebuildを使用するための条件
Cloud rebuildは、すべてのWindows 11搭載PCで無条件に使える機能ではありません。
利用するには、主に次の条件を満たす必要があります。
- Cloud rebuildに対応したWindows 11の更新プログラムが適用されていること
- Windows回復環境(WinRE)が正常に動作していること
- WinREからインターネットに接続できること
- Windows 11のハードウェア要件を満たしていること
- Windows Updateから必要なドライバーを取得できること
Windows回復環境とは?
Windows回復環境(WinRE)は、Windowsの起動トラブルが発生した際に、修復や復元などを行うための専用環境です。
Windowsが何度も起動に失敗すると、自動的に回復環境が表示される場合があります。
通常のWindowsが起動しなくても、この回復環境が正常に動作していれば、Cloud rebuildを利用できる可能性があります。
反対に、WinRE自体が破損している場合や、ストレージの故障などによって回復環境を起動できない場合には、別の復旧方法が必要です。
Cloud rebuildを実行するとデータはすべて削除される
Cloud rebuildを利用する前に、最も注意しておきたいのがデータの削除です。
Cloud rebuildでは、個人ファイルを保持したままWindowsだけを再インストールすることはできません。
Microsoftは、Cloud rebuildによって次のデータが削除されると説明しています。
- PC内に保存された文書、写真、動画などの個人ファイル
- Windowsのユーザーアカウント
- インストール済みのアプリケーション
- Windowsの各種設定
OneDriveなどのクラウドサービスに保存済みのデータは、PC内の削除処理の対象外です。ただし、クラウドへの同期が完了していないファイルまで保護されるわけではありません。
そのため、再インストール前に重要なデータをバックアップしておく必要があります。
Windowsが起動しないPCに未保存の重要データが残っている場合は、Cloud rebuildをすぐに実行せず、先にデータを救出する方法を検討してください。
Cloud rebuildの使い方・操作手順
Cloud rebuildは、Windowsが正常に起動する場合と、起動しない場合の両方から開始できます。
方法1:Windows 11が起動する場合
Windowsがまだ起動できる場合は、設定画面からCloud rebuildを開始できます。
- Windows 11の「設定」を開く
- 「システム」を選択する
- 「回復」を開く
- 「このPCの再構築」にある「PCの再構築」を選択する
- Windows回復環境が起動する
- 画面の指示に従って再構築を進める
なお、「PCの再構築」は、従来の「このPCを初期状態に戻す」とは異なる機能です。誤って別の回復方法を選択しないよう注意してください。
また、機能が表示されない場合は、対応する更新プログラムの適用状況や段階的な提供状況を確認しましょう。
方法2:Windows 11が起動しない場合
Windowsが起動できない場合は、Windows回復環境からCloud rebuildを開始します。
- Windows回復環境(WinRE)を起動する
- 「オプションの選択」画面で「トラブルシューティング」を選択する
- 「回復とアンインストール」などのメニューが表示される場合は、その中の「クラウドの再構築」を選択する
- 有線LANまたはWi-Fiでインターネットに接続する
- 画面の案内に従ってデータの削除方法を選択する
- Windowsのバージョン、エディション、言語を確認する
- データ削除の警告を確認して再構築を開始する
※実際のメニュー構成や日本語表記は、Windowsのバージョンや更新状況によって異なる場合があります。
再構築を開始すると、Windowsのダウンロードとインストールが進みます。
処理中にPCが複数回再起動する場合がありますが、正常な動作です。
再構築中に手動で電源を切ったり、強制的に再起動したりしないでください。 処理が中断されると、Windowsが起動できなくなる可能性があります。
完了後は、新しいPCを購入したときと同様に、Windowsの初期設定を行います。
ファイルの削除とデータのサニタイズは何が違う?
Cloud rebuildには、データの削除方法として主に2つの選択肢があります。
ファイルの削除
PC内のファイルを削除してWindowsを再インストールする方法です。
比較的短時間で完了しやすいため、同じPCを引き続き使用する場合に適しています。
ただし、特殊なデータ復旧ツールによって、削除した情報を復元できる可能性があります。
ファイルの削除とサニタイズ
データを削除するだけでなく、ストレージの消去機能を利用して復元を困難にする方法です。
PCを譲渡、返品、リサイクルする場合などに適しています。
こちらは通常のファイル削除より時間がかかる場合があります。
また、複数のディスクを搭載したPCでは、Windowsのディスクだけを対象とするか、すべてのディスクを対象とするかを選択する画面が表示される場合があります。
「すべてのディスク」を選ぶと、Windowsが入っていない別のディスクのデータも削除対象になるため、特に注意が必要です。
なお、データ消去の確実性はストレージの対応機能によって異なります。企業の情報管理規程などで厳格なデータ消去が必要な場合は、メーカーが提供する消去方法も確認してください。
Cloud rebuildと「このPCを初期状態に戻す」の違い
Windows 11には、以前から「このPCを初期状態に戻す」という回復機能があります。
この機能でもクラウドからWindowsをダウンロードできますが、Cloud rebuildとは仕組みが異なります。
| 比較項目 | Cloud rebuild | このPCを初期状態に戻す |
|---|---|---|
| USBメモリ | 不要 | 通常は不要 |
| Windowsの取得 | Windows Updateから取得 | クラウドダウンロードまたはローカル再インストール |
| ドライバー | Windows Updateから必要なものを取得 | 方法や環境によって異なる |
| 個人ファイルの保持 | 不可 | 保持する方法を選択可能 |
| データのサニタイズ | 対応 | 選択した回復方法・オプションによる |
| 主な用途 | 深刻な不具合からの再構築 | 通常の初期化・再インストール |
最も大きな違いは、Cloud rebuildではWindows本体と必要なデバイスドライバーをWindows Updateから取得し、ローカルのWindowsファイルに依存せず再構築することです。
一方、「このPCを初期状態に戻す」では、個人ファイルを残す方法も選べます。
そのため、Windowsが正常に起動する場合や、データを残したい場合には、まず従来の回復方法を検討する方が適切です。
Cloud rebuildは、他の回復方法では問題を解決できない場合などに使用する手段と考えましょう。
Cloud rebuildとUSBクリーンインストールの違い
Cloud rebuildが登場したことで、USBインストールメディアが完全に不要になるわけではありません。
Cloud rebuildはWindows回復環境とインターネット接続を利用します。
一方、USBによるクリーンインストールは、別途用意したインストールメディアからPCを起動してWindowsをインストールする方法です。
例えば、次のような場合には、従来のUSBインストールメディアが必要になることがあります。
- Windows回復環境が起動できない
- Cloud rebuildの機能が提供されていない
- WinREからインターネットに接続できない
- 必要なドライバーを取得できない
- ストレージ交換後などでWindowsを新規インストールしたい
このような場合は、従来の再インストール方法を検討してください。
USBメディアを使用した方法については、次の記事で詳しく解説しています。
Windows 11クリーンインストール完全ガイド|7つの手順で解説
Windows 11 USB起動ディスクの作成方法|初心者向け完全ガイド
Cloud rebuild後にWindows 11のライセンス認証は必要?
Windowsを再インストールする際、プロダクトキーを再度購入する必要があるのか気になる方も多いでしょう。
結論からいえば、同じPCで、すでにライセンス認証済みのWindows 11を同じエディションで再インストールする場合、通常は新しいライセンスを購入する必要はありません。
Microsoftによると、そのPCに有効なデジタルライセンスが存在する場合、同じエディションのWindows 11を再インストールすると、インターネット接続後に自動的にライセンス認証されます。
例えば、以前からWindows 11 Proを正しく利用していたPCに、再びWindows 11 Proをインストールする場合です。
ただし、次のような場合には注意が必要です。
- Windows 11 HomeからProなど、異なるエディションに変更する場合
- マザーボードを交換するなど、ハードウェア構成が大きく変わった場合
- 再インストール前のライセンス認証が正常に完了していなかった場合
- 使用しているライセンスの条件によって再認証が必要になる場合
Windowsが起動できる状態であれば、再構築前に「設定」→「システム」→「ライセンス認証」から認証状態を確認しておくと安心です。
詳しくはMicrosoft公式の説明をご覧ください。
Microsoft公式:Windowsのライセンス認証について
なお、Cloud rebuildの利用そのものに、新しいプロダクトキーの購入は必要ありません。
Windowsを新規導入する場合や、別途有効なライセンスを用意する必要がある場合には、用途に合った製品を選びましょう。
PCユービック:Windows 11 Pro USBインストールメディア付
Cloud rebuildが使えない・失敗するときの対処法
Cloud rebuildが正常に動作しない場合、エラーコードから原因を判断できることがあります。
Microsoftが案内している代表的なエラーには、次のようなものがあります。
エラーコード「0x800704C6」
インターネットに接続できない場合に発生するエラーです。
有線LANケーブルの接続を確認するか、利用可能なWi-Fiネットワークに接続してから再度実行してください。
エラーコード「0xC1900200」
PCがWindows 11のシステム要件を満たしていない場合などに表示されます。
TPMが無効になっている可能性もあります。
BIOS/UEFIの設定を確認し、TPMが有効になっているか調べてください。ただし、設定方法はPCメーカーによって異なります。
エラーコード「0xC1900224」
Windows Updateから必要なデバイスドライバーを取得できない場合に表示されます。
この場合はPCメーカーの回復メディアや、USBインストールメディアを使った再インストールを検討する必要があります。
これら以外のエラーや、Windows回復環境そのものが起動しない場合にも、別の回復手段が必要になることがあります。
Microsoft公式:Cloud rebuildのトラブルシューティング
よくある質問
Cloud rebuildはWindows 10でも使えますか?
Microsoftが案内しているCloud rebuildの対象OSはWindows 11です。Windows 10では、従来の回復機能やインストールメディアを使用した再インストールを検討してください。
Cloud rebuildにはUSBメモリが絶対に不要ですか?
Cloud rebuild自体はUSBメモリを必要としません。ただし、利用条件を満たさない場合や再構築に失敗した場合には、USBインストールメディアなど別の復旧手段が必要になることがあります。
Cloud rebuildでOfficeやExcelは残りますか?
残りません。Cloud rebuildではインストール済みアプリが削除されるため、Microsoft Officeなども再インストールする必要があります。
再インストール後のOfficeのライセンス認証については、使用している製品やライセンス形態によって手続きが異なります。
Cloud rebuildにはどのくらい時間がかかりますか?
PCの性能、ストレージ容量、インターネットの速度によって異なります。
データのサニタイズを選択すると、通常のファイル削除より長い時間がかかることがあります。Microsoftは一律の所要時間を保証していないため、十分な時間を確保して実行しましょう。
Cloud rebuildのメニューが表示されない場合は?
利用中のWindows 11のバージョンや更新プログラムの適用状況を確認してください。
Cloud rebuildは段階的に提供されるため、対応する更新プログラムを適用していても、すぐには利用できない場合があります。
Windowsが起動しない状態で機能が表示されない場合は、従来の回復方法を検討してください。
まとめ:Cloud rebuildは便利だが、データ消去に注意
Windows 11の新機能「Cloud rebuild」によって、USBインストールメディアを用意せずにWindowsを再インストールできる選択肢が増えました。
特に、Windowsのシステムファイルが破損して正常に起動できない場合に、Windows回復環境から新しいWindows本体とドライバーを取得して再構築できる点が大きな特徴です。
ただし、Cloud rebuildは個人ファイル、アプリ、設定などを削除する機能です。
データを残したい場合は、他の回復方法やバックアップからの復元を先に検討してください。
また、Windows回復環境が起動できない場合や、必要なドライバーが取得できない場合には、USBインストールメディアなどの従来の方法も必要です。
Cloud rebuildはUSBクリーンインストールを完全に置き換えるものではなく、Windows 11の復旧方法に新しい選択肢を加える機能と考えるのが適切でしょう。
参考資料
- Microsoft:2026年10月28日 Windows 11更新情報(KB5127936)
- Microsoft:Windowsでのクラウドの再構築
- Microsoft:Windowsの回復オプション
- Microsoft:Windowsのライセンス認証
