Windows 11のセキュリティ対策が重要な理由
パソコンがインターネットに接続されている限り、常に外部からの脅威にさらされています。特にWindows 11は最新のOSであるがゆえに、サイバー攻撃者からの標的になりやすい側面もあるのです。
2025年7月現在、サイバー攻撃の手法はますます巧妙化しており、個人情報の漏洩やランサムウェア被害が後を絶ちません。しかし、Windows 11には強力なセキュリティ機能が標準搭載されているため、適切に設定するだけでも高いレベルの防御が可能です。
私はソフトウェア販売に携わるITライターとして、多くの企業や個人ユーザーのPC環境整備をサポートしてきました。その経験から言えるのは、セキュリティ設定を「面倒だから後で」と先送りにしてしまうことが、最大のリスクだということです。
テレワークやオンラインバンキング、SNSの利用が日常となった今、個人情報の保護はかつてないほど重要になっています。Windows 11を安全に使うための設定は決して複雑ではなく、この記事で紹介する7つの手順を順番に実行するだけで、誰でも簡単に強固なセキュリティ環境を構築できるのです。
それでは、初心者の方でも迷わず実践できるWindows 11のセキュリティ設定手順を、順を追って解説していきましょう。
手順1:Windows Updateを最新の状態に保つ
セキュリティ対策の基本中の基本は、OSを常に最新の状態に保つことです。Windows Updateには重要なセキュリティパッチが含まれており、既知の脆弱性を修正してくれます。
Microsoft社は2025年7月現在も定期的にセキュリティ更新プログラムをリリースしています。毎月第2火曜日(日本では翌水曜日)に定期更新が行われるため、この日程を覚えておくと良いでしょう。
Windows Updateの設定確認方法は以下の通りです:
- 「スタート」ボタンをクリック
- 「設定」を選択
- 左側のメニューから「Windows Update」をクリック
- 「更新プログラムのチェック」をクリックして最新の状態か確認
自動更新を有効にしておくと、重要な更新プログラムを見逃す心配がありません。設定画面で「詳細オプション」を開き、「自動的に更新プログラムをダウンロードしてインストールする」がオンになっていることを確認しましょう。
更新プログラムのインストールは、パソコンの使用を終えた後に行うように設定しておくと、作業の中断を避けられます。「アクティブ時間」を設定しておくと、その時間帯は更新プログラムによる再起動が行われないので便利です。
手順2:Microsoft Defenderを有効化して設定を最適化
Windows 11には「Microsoft Defender」というセキュリティソフトが標準搭載されています。かつては外部のセキュリティソフトが必須でしたが、現在のDefenderは非常に高性能で、多くの場合はこれだけで十分な防御力を発揮します。
Defenderが有効になっているか確認する方法は簡単です。スタートメニューから「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」と進み、「ウイルスと脅威の防止」をクリックします。
ここで重要なのは、「リアルタイム保護」が有効になっていることです。これにより、怪しいファイルやプログラムを実行する前に検出してブロックしてくれます。
さらに効果的なセキュリティのために、以下の設定も確認しておきましょう:
- 「クラウド配信の保護」をオンにする(新種のマルウェアにも対応)
- 「自動サンプル送信」をオンにする(検出精度向上に貢献)
- 「ランサムウェア保護」をオンにする(重要ファイルを保護)
特に「ランサムウェア保護」は重要です!これを有効にすると、「制御されたフォルダーアクセス」という機能が使えるようになり、ドキュメントやピクチャなどの重要フォルダを不正なアプリからロックして守ってくれます。
Microsoft Defenderは常に進化しています。2025年の最新版では、AIを活用した脅威検知機能も強化されており、従来のパターンマッチングでは検出できなかった新種のマルウェアにも対応できるようになっています。
手順3:強固なパスワードとPIN設定でアカウントを保護
セキュリティの要となるのは、やはりログイン認証です。Windows 11では、Microsoftアカウントと連携することで、より強固なセキュリティを実現できます。
まず、強力なパスワードを設定しましょう。理想的なパスワードは、12文字以上で、大文字・小文字・数字・記号を組み合わせたものです。
でも、複雑なパスワードって覚えにくいですよね?
そこで便利なのが「Windows Hello」です。これを使えば、PINコードや生体認証(指紋・顔認証)でより簡単かつ安全にログインできます。特にPINは、パスワードと違ってデバイスにのみ保存されるため、オンライン上で漏洩するリスクがありません。
Windows Helloの設定方法:
- 「設定」→「アカウント」→「サインインオプション」を開く
- 「PINのセットアップ」または「顔認識のセットアップ」を選択
- 画面の指示に従って設定を完了
2025年現在、多くのノートパソコンには顔認証カメラや指紋センサーが搭載されています。これらを活用すれば、パスワードを入力する手間なく、瞬時に安全なログインが可能です。
さらに、2段階認証を有効にすることで、セキュリティをさらに強化できます。Microsoftアカウントの設定ページから有効にでき、ログイン時にスマートフォンなどへの確認コード入力が必要になります。
これらの設定を組み合わせることで、たとえパスワードが漏洩しても、第三者があなたのアカウントに不正アクセスすることはほぼ不可能になります。
手順4:ファイアウォールとネットワーク保護の設定
インターネットに接続する際、あなたのパソコンは常に外部からの接続試行にさらされています。Windows 11のファイアウォールは、こうした不正なアクセスを防ぐ重要な防壁です。
ファイアウォールの状態を確認するには、「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」→「ファイアウォールとネットワーク保護」と進みます。
ドメイン、プライベート、パブリックの3つのネットワークタイプすべてで、ファイアウォールが「オン」になっていることを確認しましょう。特に公共のWi-Fiを使用する場合は、パブリックネットワークの保護が重要です。
「アプリケーションの許可」設定では、ファイアウォールを通過できるアプリを管理できます。不要なアプリの通信を制限することで、セキュリティリスクを減らせます。
公共のWi-Fiを頻繁に利用する方は、VPN(仮想プライベートネットワーク)の使用も検討してみてください。VPNを使うと、通信が暗号化され、第三者による盗聴や情報漏洩のリスクを大幅に減らせます。
Windows 11では、「設定」→「ネットワークとインターネット」→「VPN」から、VPN接続を簡単に設定できます。ただし、信頼できるVPNサービスを選ぶことが重要です。
手順5:BitLockerでデータを暗号化
パソコンが盗難に遭ったり、紛失したりした場合、内部のデータが第三者に読み取られるリスクがあります。BitLockerを使えば、ドライブを暗号化して、そのリスクを大幅に減らせます。
BitLockerはWindows 11 Pro以上のエディションで利用可能な機能です。Home版をお使いの場合は、「デバイスの暗号化」という簡易版の機能が利用できます。
BitLockerの設定方法:
- 「コントロールパネル」→「システムとセキュリティ」→「BitLocker ドライブ暗号化」を開く
- 「BitLockerを有効にする」をクリック
- 回復キーの保存方法を選択(Microsoftアカウントへの保存がおすすめ)
- 暗号化方法を選択し、「次へ」をクリック
- 「ドライブ全体を暗号化する」を選択し、「次へ」をクリック
- 「暗号化の開始」をクリックして完了
暗号化には時間がかかることがありますが、バックグラウンドで実行されるので、その間もパソコンを使用できます。
特にノートパソコンをよく持ち歩く方は、BitLockerの設定を強くおすすめします。これにより、万一の盗難や紛失時にも、大切な個人情報や機密データが漏洩するリスクを最小限に抑えられます。
回復キーは必ず安全な場所に保管してください。BitLockerのロックがかかった際に、このキーがなければデータにアクセスできなくなります。
手順6:アプリのインストール制限とスマートスクリーンの活用
マルウェアの多くは、不審なアプリケーションを通じてパソコンに侵入します。Windows 11には、こうしたリスクを減らすための機能が備わっています。
まず、「スマートスクリーン」機能を確認しましょう。これは、ダウンロードしたアプリやファイルが安全かどうかを自動的にチェックしてくれる機能です。
「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」→「アプリとブラウザーコントロール」から、「評価の確認」がオンになっていることを確認します。
さらに安全性を高めるなら、アプリのインストール元を制限する設定も有効です。「設定」→「アプリ」→「アプリとインストール」→「アプリのインストール」で、「Microsoft Storeのみ許可する」または「警告するが、インストールを許可する」を選択できます。
Microsoft Storeからのアプリは、Microsoftによる審査を通過しているため、比較的安全です。不明なソースからのアプリをインストールする際は、十分な注意が必要です。
また、定期的にインストール済みアプリを見直し、使っていないアプリは削除することも大切です。不要なアプリが多いほど、セキュリティリスクも高まります。
手順7:プライバシー設定の最適化
最後に、プライバシー設定を見直しましょう。Windows 11では、さまざまなプライバシー関連の設定が用意されており、これらを適切に調整することで、個人情報の保護を強化できます。
「設定」→「プライバシーとセキュリティ」から、以下の項目を確認してみてください:
- 「位置情報」:必要のないアプリの位置情報アクセスをオフに
- 「カメラ」「マイク」:不要なアプリのアクセスを制限
- 「診断と使用状況データ」:送信するデータ量を「必要最小限」に設定
- 「アクティビティの履歴」:必要に応じてオフに
特に注目したいのが「アプリの権限」設定です。ここでは、インストールしたアプリがアクセスできる情報(連絡先、カレンダー、通話履歴など)を細かく制御できます。
例えば、メモアプリにカメラへのアクセス権限は本当に必要でしょうか?不要な権限は制限することで、プライバシーリスクを減らせます。
また、ブラウザのプライバシー設定も重要です。Microsoft Edgeを使用している場合は、「設定」→「プライバシー、検索、サービス」から、トラッキング防止レベルを「厳格」に設定することをおすすめします。
これらの設定は一度行えば完了というものではなく、新しいアプリをインストールするたびに見直すことが大切です。
まとめ:安全なWindows 11環境を維持するために
ここまで、Windows 11を安全に使うための7つの基本的な設定手順を解説してきました。これらの設定を行うことで、多くのセキュリティリスクから身を守ることができます。
しかし、セキュリティ対策は一度設定して終わりではありません。定期的なメンテナンスと注意が必要です。
日常的に心がけたい習慣としては:
- 定期的なWindows Updateの確認
- 不審なメールの添付ファイルやリンクをクリックしない
- 信頼できるソースからのみソフトウェアをダウンロード
- 重要なデータの定期的なバックアップ
- 公共Wi-Fiでの機密情報の送受信を避ける
これらの基本的な対策を実践するだけでも、セキュリティリスクは大幅に減らせます。
最新のWindows 11は、以前のバージョンと比べてセキュリティ機能が大幅に強化されています。しかし、最終的なセキュリティはユーザー自身の意識と行動にかかっています。
この記事で紹介した設定を実践し、安全なデジタルライフを送りましょう。そして、大切なデータを守るためには、正規のライセンスを持つWindows製品を使用することも重要です。
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