パソコンの電源を入れたとき、いつものWindowsロゴが表示されず、真っ黒な画面のまま止まってしまった……。そんな経験はありませんか?
「Windows 11 ブートローダー」の問題は、多くのユーザーが直面するトラブルのひとつです。大切な仕事のファイルや家族の写真が入ったパソコンが起動しないと、本当に焦りますよね。
でも安心してください。この記事では、初心者の方でも安全に実践できる修復方法を、順を追ってわかりやすく解説します。多くの場合、適切な手順を踏めば自力で復旧できるのです。
Windows 11 ブートローダーとは?〜基本を理解しよう
まずは「敵を知る」ことから始めましょう。ブートローダーとは何か、そしてなぜ問題が起きるのかを理解することが、解決への第一歩です。
ブートローダーの役割と仕組み
「Windows 11 ブートローダー」は、パソコンの電源を入れてからWindowsが起動するまでの「交通整理役」のような存在です。正式には「Windows Boot Manager」と呼ばれ、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)という最新のファームウェア規格と連携して動作します。
具体的には、ハードディスクやSSDからWindows本体を見つけ出し、必要なシステムファイルを正しい順序で読み込み、Windowsのカーネル(中核部分)に制御を渡すという一連の処理を担当しています。通常、この処理は数秒で完了するため、私たちが意識することはありません。
ブートローダーが破損する主な原因
Windows 11のブートローダーが破損する原因は、大きく分けて7つあります。
MBR(マスターブートレコード)やEFIパーティションの破損が最も多い原因です。これは、ハードディスクやSSDの「目次」にあたる重要な領域が壊れてしまった状態を指します。
ブート構成ファイル(BCD)の障害も頻繁に発生します。BCDは「Windowsがどこにあるか」という情報を保存しているファイルで、これが壊れるとWindowsを見つけられなくなります。
その他、BIOS/UEFI設定の問題、ハードディスク・SSDの物理障害、Windows Updateの失敗、システムファイルの破損、周辺機器の干渉なども原因となります。特にHyper-Vなどの仮想化技術を導入した際に、ブート領域が破損するケースも報告されています。
典型的な症状とエラーメッセージ
ブートローダーの問題には、いくつかの典型的なパターンがあります。
黒い画面に白文字で「Windows failed to start」(Windowsの起動に失敗しました)、「BOOTMGR is missing」(BOOTMGRが見つかりません)、「Operating System not found」(オペレーティングシステムが見つかりません)といったメッセージが表示されるケースが多く見られます。
また、エラーコード「0xc000000e」が表示されることもあります。これは、ブート構成データ(BCD)が破損または見つからないことを示すエラーです。
場合によっては、黒い画面のまま何も表示されず、カーソルすら現れない完全な無反応状態になることもあります。あるいは、Windows Boot Managerの選択画面は表示されるものの、Windowsを選んでも先に進まない、起動しようとしては失敗し、また黒い画面に戻るという無限ループに陥ることもあります。
修復前の準備〜安全に作業を進めるために
修復作業を始める前に、いくつか準備しておくべきことがあります。
インストールメディアの作成方法
ブートローダーを修復するには、「Windows RE(Recovery Environment)」という回復環境を起動する必要があります。そのためには、インストールメディアまたは回復ドライブが必要です。
インストールメディアを作成するには、起動できる別のWindowsパソコンが必要になります。マイクロソフトの公式サイトから「Windows 11 メディア作成ツール」をダウンロードし、8GB以上のUSBメモリを用意して作成します。
もし別のパソコンが用意できない場合は、友人や家族に頼んで作成してもらう方法もあります。
回復ドライブの活用
Windows 11には「回復ドライブ」という機能があり、事前に作成しておけば、トラブル時に役立ちます。回復ドライブは、Windowsの検索ボックスで「回復ドライブの作成」と入力し、表示される手順に従って作成できます。
回復ドライブでパソコンを起動すると、キーボードレイアウトの選択画面が表示され、その後「オプションの選択」画面で「トラブルシューティング」を選択できます。
BIOS/UEFI設定の確認ポイント
メディアから起動するには、BIOS(UEFI)の設定を変更する必要がある場合があります。
パソコンの電源を入れた直後に「Delete」「F2」「F12」「F9」「F8」などのキーを押すと、BIOS設定画面に入れます。どのキーを押すかは、メーカーや機種によって異なるため、説明書を確認してください。
BIOS画面で起動順序(Boot Order)を変更し、USBメモリを最優先に設定します。機種によっては、キーボード操作で起動メディアを直接選択できる「ブートメニュー」機能もあります。
【方法1】自動修復機能で解決する〜最も簡単な方法
まずは、Windows 11に標準搭載されている「スタートアップ修復」という自動修復機能を試してみましょう。
スタートアップ修復の実行手順
インストールメディアまたは回復ドライブでパソコンを起動します。回復ドライブの起動には時間がかかることがあるため、ロゴ画面で止まっているように見えても、そのまま待ちましょう。
「オプションの選択」画面が表示されたら、「トラブルシューティング」をクリックします。次に「詳細オプション」を選択し、メニューから「スタートアップ修復」をクリックします。
「スタートアップ修復」画面で「Windows 11」を選択して実行すると、「PCを診断中」と表示されます。この処理には数分かかることがあるため、そのまま待ちます。
自動修復が成功した場合の確認方法
診断が完了すると、Windows 11が正常に起動すれば、ブートローダーは修復されています。
起動後は、念のため「Windows RE(回復環境)」が有効になっているか確認しましょう。管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「reagent /info」と入力して実行します。「Windows RE の状態: Enabled」と表示されれば問題ありません。
自動修復が失敗した場合の対処
「PCを診断中」の後に再び「スタートアップ修復」画面が表示された場合は、「詳細オプション」をクリックして「トラブルシューティング」に戻り、再度「スタートアップ修復」を実行してみます。
何度か試しても改善しない場合は、次の手動修復方法に進みましょう。
【方法2】コマンドで手動修復する〜確実な解決法
自動修復で解決しない場合は、コマンドプロンプトを使った手動修復が必要です。
Diskpartを使ったEFIパーティションの確認
「詳細オプション」画面で「コマンドプロンプト」をクリックします。コマンドプロンプトが起動したら、まず「diskpart」と入力してEnterキーを押します。
次に「list disk」と入力して、接続されているディスクの一覧を表示します。通常、Windows 11がインストールされているディスクは「ディスク 0」です。「select disk 0」と入力して、ディスク0を選択します。
「list vol」(または「list volume」)と入力すると、ディスク0上のすべてのボリュームが一覧表示されます。ここで、FAT32ファイルシステムを使用している100MB程度の「EFI」または「EPS」というラベルのパーティションを探します。
ドライブ文字の割り当てとフォーマット
EFIパーティションにはドライブ文字が割り当てられていないため、操作するには文字を割り当てる必要があります。
EFIパーティションのボリューム番号を確認したら(例えばボリューム2の場合)、「select vol 2」と入力して選択します。次に「assign letter=X」と入力して、まだ使われていないドライブ文字(XやQなど)を割り当てます。
一部のケースでは、EFIパーティションをフォーマットすることで問題が解決することがあります。「exit」と入力してDiskpartを終了し、「notepad」と入力してメモ帳を起動します。メモ帳のファイルメニューから「開く」を選択し、「PC」をクリックして割り当てたドライブ(X:など)を右クリックし、「フォーマット」を実行します。
bcdeditコマンドによるブートローダー再構築
メモ帳を閉じて、コマンドプロンプトに戻ります。
まず、EFIパーティションに移動するため、「cd /d X:\EFI\Microsoft\Boot\」と入力します(Xは先ほど割り当てたドライブ文字)。
次に「bootrec /FixBoot」と入力して、ブートセクターを修復します。さらに「bcdboot C:\Windows /l ja-JP /s X: /f UEFI」と入力して、ブートファイルを再構築します。
「ブート ファイルは正常に作成されました」と表示されれば成功です。最後に「bootrec /rebuildbcd」と入力して、ブート構成データを再構築します。
コマンドプロンプトを閉じ、「続行」を選択してWindows 11を起動します。
修復できない場合の対処法〜データ保護を最優先に
上記の方法でも修復できない場合は、別のアプローチが必要です。
システムの復元を試す
「詳細オプション」から「システムの復元」を選択すると、過去の復元ポイントに戻すことができます。ただし、これは事前に復元ポイントが作成されている場合のみ有効です。
復元ポイントの一覧から、問題が発生する前の日付を選択して実行します。
データ救出の方法
どうしても起動できない場合でも、データは残っている可能性が高いです。
別のパソコンにハードディスクやSSDを接続して、データを取り出すことができます。USB接続の外付けケースを使えば、比較的簡単にデータを救出できます。
クリーンインストールの検討
最終手段として、Windows 11のクリーンインストールを検討します。
インストールメディアから起動し、「今すぐインストール」を選択します。ライセンス認証の画面では、「プロダクトキーがありません」を選択しても、後で自動的に認証されることが多いです。
インストールの種類では、「カスタム」を選択し、既存のパーティションを削除して新規インストールを行います。ただし、この方法では既存のデータがすべて消去されるため、事前にデータを救出しておくことが重要です。
関連記事
▶ Windows 11クリーンインストール完全ガイド|7つの手順で解説
トラブルを防ぐための予防策〜日頃からできること
ブートローダーの問題を未然に防ぐには、日頃からの対策が重要です。
定期的なバックアップの重要性
最も重要なのは、定期的なバックアップです。
Windows 11には「ファイル履歴」という機能があり、外付けハードディスクやネットワークドライブに自動的にファイルをバックアップできます。また、「システムイメージのバックアップ」を作成しておけば、システム全体を復元できます。
クラウドストレージサービス(OneDrive、Google Drive、Dropboxなど)を活用するのも効果的です。
Windows Updateの適切な管理
Windows Updateは、セキュリティと機能の向上に不可欠ですが、時にはトラブルの原因にもなります。
更新プログラムをインストールする前に、重要なデータをバックアップしておくことをおすすめします。また、大型アップデートの直後は、しばらく様子を見てから適用するという慎重なアプローチも有効です。
ハードウェアのメンテナンス
ハードディスクやSSDの健康状態を定期的にチェックすることも大切です。
「CrystalDiskInfo」などの無料ツールを使えば、ドライブの状態を簡単に確認できます。警告が表示された場合は、早めにドライブを交換することで、データ損失を防げます。
また、パソコン内部のホコリを定期的に清掃することで、熱によるトラブルを防ぐことができます。
よくある質問〜修復に関する疑問を解消
ブートローダー修復に関して、よく寄せられる質問をまとめました。
Windows 10とWindows 11で対処法は違う?
基本的な修復手順は、Windows 10とWindows 11でほぼ同じです。
どちらもUEFIブートローダーとGPT(GUIDパーティションテーブル)を使用しているため、同じコマンドと手順で修復できます。ただし、Windows 7やWindows 8は、MBR(マスターブートレコード)を使用するレガシーBIOSにインストールされていることが多いため、修復方法が異なります。
黒い画面からデータは取り出せる?
はい、ほとんどの場合、データは取り出せます。
ブートローダーの問題は、通常、データ領域には影響しません。ハードディスクやSSDを別のパソコンに接続すれば、データにアクセスできることが多いです。USB接続の外付けケースを使えば、専門知識がなくても比較的簡単にデータを救出できます。
修理に出すといくらかかる?
修理費用は、依頼先や作業内容によって大きく異なります。
一般的なパソコン修理店では、ブートローダーの修復だけなら5,000円〜15,000円程度が相場です。データ復旧も含める場合は、20,000円〜50,000円以上かかることもあります。メーカー修理の場合は、さらに高額になる傾向があります。
自力修復とプロ依頼の判断基準は?
以下のような場合は、プロに依頼することをおすすめします。
ハードディスクやSSDから異音がする場合は、物理障害の可能性が高いため、自力での修復は避けるべきです。また、この記事の方法を試しても改善しない場合や、パソコンの操作に自信がない場合も、専門家に相談した方が安全です。
一方、エラーメッセージが表示されていて、ハードウェアに異常がない場合は、自力での修復を試す価値があります。
保証期間内なら無料で修理できる?
メーカー保証の対象になるかどうかは、トラブルの原因によります。
ハードウェアの故障が原因であれば、保証期間内なら無料で修理できる可能性が高いです。しかし、ソフトウェアの問題やユーザーの操作ミスが原因の場合は、保証対象外となることが多いです。まずはメーカーのサポートに問い合わせて、状況を説明することをおすすめします。
まとめ〜冷静な判断と適切な対処が鍵
Windows 11のブートローダー問題は、確かに厄介なトラブルですが、適切な手順を踏めば多くの場合は自力で解決できます。
まずは、自動修復機能である「スタートアップ修復」を試してみましょう。それでも解決しない場合は、コマンドプロンプトを使った手動修復に進みます。Diskpartでパーティションを確認し、bcdeditコマンドでブートローダーを再構築することで、多くの問題は解決します。
ただし、ハードディスクやSSDに物理的な障害がある場合や、何度試しても改善しない場合は、無理をせず専門家に相談することが重要です。データを守ることを最優先に考え、冷静に判断しましょう。
そして何より大切なのは、日頃からの予防策です。定期的なバックアップ、適切なWindows Updateの管理、ハードウェアのメンテナンスを心がけることで、トラブルのリスクを大幅に減らすことができます。
もし、ブートローダーの修復後にWindowsを再インストールする必要が生じた場合や、予備のライセンスを用意しておきたい場合は、正規品保証付きのWindowsソフトウェアを検討してみてください。
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トラブルに備えて、正規のWindowsライセンスを手元に用意しておくことは、ビジネスでも個人利用でも大きな安心につながります。
