Windows 11のBitLockerとは?初心者向け基本解説
パソコンの中には、個人情報や仕事のデータなど大切な情報がたくさん保存されています。でも、もしパソコンを紛失したり盗まれたりしたら?
そんな不安を解消してくれるのが、Windows 11 Proに搭載されている「BitLocker」という機能です。BitLockerを使えば、ドライブ全体を暗号化して、第三者からのデータ盗み見を防ぐことができます。
BitLockerは、パソコンの紛失や盗難時に情報漏洩を防ぐための強力なセキュリティ機能として、多くの企業や個人ユーザーに活用されています。特に機密情報を扱う方や、モバイルワークが多い方には必須の機能と言えるでしょう。
この記事では、Windows 11のBitLocker機能について、初心者の方でも安心して設定できるよう、基本的な概念から実際の設定手順、そして注意点まで詳しく解説していきます。
ITに詳しくなくても大丈夫。この記事を読めば、あなたのパソコンを安全に保護するための第一歩を踏み出せるはずです。
Windowsの基本的なセキュリティ設定をもっと知りたい方は、Windows 11のセキュリティ設定完全ガイドも参考になります。
BitLockerが提供するセキュリティとは
BitLockerは単なるパスワード保護とは違います。ドライブ全体を暗号化することで、より強固なセキュリティを実現しています。
通常のパスワード保護では、ハードディスクを別のパソコンに接続すれば、中のデータを簡単に読み取ることができてしまいます。しかしBitLockerが有効になっていると、ドライブ内のすべてのデータが暗号化されるため、正しい認証なしではデータにアクセスできなくなるのです。
BitLockerによる暗号化の対象となるのは、以下のようなドライブです。
- 内蔵HDD(ハードディスクドライブ)
- 内蔵SSD(ソリッドステートドライブ)
- USBメモリなどの外付けストレージ
- リムーバブルハードディスク
暗号化されたドライブは、正規のユーザーには通常通り使用できますが、不正なアクセスからはしっかりと保護されます。これにより、パソコンが紛失・盗難に遭った場合でも、大切なデータが第三者の手に渡るリスクを大幅に減らすことができるのです。
企業においては、BitLockerの導入により情報セキュリティポリシーへの準拠が容易になり、個人ユーザーにとっては、プライバシー保護の強化につながります。
さらに、最近のセキュリティ事情を考えると、2025年現在ではランサムウェアなどの脅威も増加しており、データ保護の重要性はますます高まっています。BitLockerはそうした現代のセキュリティリスクに対応するための有効な手段の一つと言えるでしょう。
個人情報保護の観点からは、Windows 11のプライバシー設定ガイドもあわせて確認しておくと安心です。
どうでしょう?BitLockerの重要性が少し理解できましたか?
BitLockerを使うための前提条件
BitLockerを利用するには、いくつかの条件があります。まずは自分のパソコンがBitLockerに対応しているか確認しましょう。
最も重要なのは、お使いのWindows 11のエディションです。BitLockerはWindows 11 Proに標準搭載されている機能で、Windows 11 Homeエディションでは基本的に利用できません。
必要なハードウェア要件
BitLockerを最大限に活用するには、TPM(Trusted Platform Module)というセキュリティチップがパソコンに搭載されている必要があります。TPMは暗号化キーを安全に保管するためのハードウェアで、最近のビジネス向けパソコンにはほとんど搭載されています。
TPMがない場合でも、USBメモリを使用するなどの代替方法でBitLockerを利用することは可能ですが、セキュリティレベルはやや下がります。
Windows 11 HomeとProの違い
Windows 11 Homeユーザーの方には「デバイスの暗号化」という機能が提供されている場合があります。これはBitLockerの簡易版とも言える機能で、基本的な暗号化は可能ですが、BitLockerほど詳細な設定はできません。
Windows 11 Proにアップグレードすれば、より高度なセキュリティ設定や管理機能を利用できるようになります。特に企業での利用や、より厳格なセキュリティが必要な場合は、Windows 11 Proへのアップグレードを検討してみてください。
各エディションの違いを詳しく知りたい方は、Windows 11 Home vs Pro 違い完全ガイドをご覧ください。
Windows 11 Proでは、BitLockerの詳細設定やグループポリシーによる一元管理、回復キーのバックアップオプションなど、より柔軟で強固なセキュリティ対策が可能になります。
自分のパソコンがどのエディションを使用しているか確認するには、「設定」→「システム」→「バージョン情報」で確認できます。
BitLockerの設定方法(ステップバイステップ)
それでは、実際にBitLockerを設定していきましょう。初めて設定する方でも分かりやすいよう、順を追って説明します。
BitLockerの設定は、大きく分けて「有効化」と「設定のカスタマイズ」の2つのステップがあります。まずは基本的な有効化の手順から見ていきましょう。
まだWindowsを初期設定中の方は、Windows 11インストール手順完全ガイドも合わせて確認するとスムーズです。
BitLockerを有効にする手順
BitLockerを有効にするには、管理者権限を持つアカウントでサインインしている必要があります。通常、パソコンを購入して最初に設定したアカウントは管理者アカウントになっています。
- 「スタート」ボタンをクリックし、「設定」を選択します
- 設定画面で「プライバシーとセキュリティ」をクリックします
- 左側のメニューから「デバイスの暗号化」を選択します
- 「BitLocker ドライブ暗号化」をクリックします
- 「オペレーティングシステムドライブ」(通常はCドライブ)の横にある「BitLockerを有効にする」をクリックします
回復キーのバックアップ方法
BitLockerを有効にする際、最も重要なのが「回復キー」のバックアップです。回復キーとは、何らかのトラブルでBitLockerにアクセスできなくなった場合に、データを復元するための特殊なパスワードです。
回復キーを紛失すると、最悪の場合データにアクセスできなくなる可能性があるため、必ず安全な場所に保管してください。
回復キーのバックアップ方法は以下の4つから選択できます:
- Microsoft アカウントに保存する(オンラインで管理できて便利)
- ファイルに保存する(USBメモリなど別のストレージに保存)
- 回復キーを印刷する(紙に印刷して保管)
- Azure AD(Entra ID)アカウントに保存する(企業での利用に便利)
個人利用の場合は、Microsoft アカウントに保存する方法が便利です。企業での利用なら、IT管理者の指示に従って適切な方法を選択しましょう。
暗号化の範囲と方式の選択
回復キーを保存した後、暗号化の範囲を選択します。選択肢は通常2つあります:
- 「使用済みの領域のみ暗号化する」(速いが、完全な保護ではない)
- 「ドライブ全体を暗号化する」(時間がかかるが、より安全)
初めて暗号化する場合は「ドライブ全体を暗号化する」を選ぶのが安全です。続いて、暗号化モードを選択します。「新しい暗号化モード」を選択するのが一般的です。
最後に「BitLockerシステムチェックを実行する」にチェックを入れて「続行」をクリックすると、パソコンが再起動し、暗号化プロセスが始まります。
暗号化には時間がかかることがあります。特にドライブ容量が大きい場合は、数時間かかることもあるので、電源を切らずにそのまま待ちましょう。
BitLockerの詳細設定とカスタマイズ
基本的な設定が完了したら、より細かい設定でセキュリティをカスタマイズすることができます。自分の使い方や環境に合わせて、最適な設定を選びましょう。
パスワードとPINの設定
BitLockerでは、起動時の認証方法としてパスワードやPINを設定できます。これにより、パソコンの起動時に認証が必要になり、セキュリティがさらに向上します。
PINを設定するには、BitLockerの管理画面から「スタートアップPINを変更する」を選択します。4桁以上の数字を入力して設定完了です。
ただし、PINやパスワードを忘れると、回復キーが必要になるので注意しましょう。また、頻繁にパソコンを起動する環境では、毎回の入力が手間に感じることもあります。
外付けドライブの暗号化
BitLockerはCドライブだけでなく、外付けドライブやUSBメモリなども暗号化できます。外部に持ち出すメディアこそ、紛失リスクが高いため暗号化が重要です。
外付けドライブを暗号化するには、BitLockerの管理画面で該当するドライブを選択し、「BitLockerを有効にする」をクリックします。基本的な手順はCドライブの暗号化と同じですが、外付けドライブの場合は「パスワードを使用してドライブのロックを解除する」オプションが表示されます。
外付けドライブの場合は、パスワードを設定しておくと、他のパソコンでも認証さえすれば利用できるので便利です。
自動ロック解除の設定
頻繁に使用する外付けドライブの場合、毎回パスワード入力が面倒に感じることもあるでしょう。そんな時は「自動ロック解除」の設定が便利です。
自動ロック解除を設定すると、特定のパソコンでは自動的にロックが解除され、パスワード入力が不要になります。ただし、そのパソコン自体のセキュリティはしっかりと確保しておく必要があります。
設定方法は、暗号化済みの外付けドライブを右クリックし、「BitLocker管理」から「自動ロック解除を有効にする」を選択します。
これらの詳細設定を活用することで、セキュリティと利便性のバランスを取りながら、自分に最適なBitLocker環境を構築できます。
セキュリティだけでなく操作性も高めたい方は、Windows 11カスタマイズガイドもおすすめです。
BitLockerの無効化と回復方法
状況によっては、BitLockerを一時的に無効にしたり、完全に解除したりする必要が出てくることもあります。また、トラブル時の回復方法も知っておくと安心です。
BitLockerを無効にする手順
BitLockerを無効にするのは、有効化よりも簡単です。以下の手順で行えます:
- 「コントロールパネル」を開きます
- 「システムとセキュリティ」→「BitLockerドライブ暗号化」を選択します
- 無効にしたいドライブの横にある「BitLockerを無効にする」をクリックします
- 確認画面で「はい」を選択します
無効化のプロセスが始まり、ドライブの復号化が行われます。これには暗号化と同様に時間がかかることがあります。特に大容量ドライブの場合は、完了まで数時間かかることもあるので注意しましょう。
無効化中はパソコンを通常通り使用できますが、完全に復号化が終わるまでは電源を切らないようにしてください。
回復キーを使ったトラブル解決
何らかの理由でBitLockerにアクセスできなくなった場合、回復キーを使って復旧することができます。以下のようなケースで回復キーの入力を求められることがあります:
- BIOS/UEFIの設定を変更した
- ハードウェアの構成を変更した
- システムファイルが破損した
- 何度もPINやパスワードを間違えた
回復キーの入力画面が表示されたら、バックアップしておいた回復キーを入力します。Microsoft アカウントに保存した場合は、別のデバイスからアカウントにアクセスして確認できます。
回復キーを紛失してしまった場合は、残念ながらデータにアクセスできなくなる可能性が高いです。これがBitLockerの回復キーをしっかり保管することが重要な理由です。
企業で管理されているパソコンの場合は、IT管理者に回復キーを問い合わせてみてください。多くの企業では、一元管理されていることが多いです。
そのほかのトラブル解決法については、Windows 11トラブル対処法ガイドも参考になります。
BitLockerのよくある疑問と注意点
BitLockerを使い始める前に知っておきたい、よくある疑問や注意点をまとめました。これらを理解しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、安心してBitLockerを活用できるでしょう。
パフォーマンスへの影響は?
BitLockerを有効にすると、暗号化・復号化の処理が常に行われるため、理論上はパフォーマンスに影響があります。しかし、最近のCPUには暗号化処理を高速化するハードウェア支援機能が搭載されているため、実用上はほとんど影響を感じないことが多いです。
特に2025年現在の一般的なパソコンでは、日常的な作業でBitLockerによる速度低下を感じることはほとんどないでしょう。ただし、非常に古いパソコンや、大量のデータを常時処理するような特殊な用途では、多少の影響が出る可能性があります。
Windows更新後のトラブル対策
Windows Updateの後に、BitLockerの回復キー入力を求められることがあります。これは、システムファイルの変更をBitLockerが検知し、セキュリティのために発生する正常な動作です。
大きなアップデートの前には、回復キーの保存場所を再確認しておくと安心です。また、企業環境では、IT部門が大規模なアップデート前に特別な対応を行うこともあります。
最近のWindows 11では、通常の小さなアップデートでは回復キーを求められることは少なくなっていますが、大型の機能アップデートでは発生する可能性があります。
最新のセキュリティ脆弱性と対策
2025年7月には、BitLockerのバイパスを可能にする脆弱性(CVE-2025-48818)が発見され、Microsoftから修正パッチが提供されました。この脆弱性は、物理アクセス権を持つ攻撃者がBitLocker暗号化を回避できる可能性があるというものでした。
このような脆弱性への対策として、Windows Updateを常に最新の状態に保つことが重要です。Microsoftは定期的にセキュリティパッチを提供しており、自動更新を有効にしておくことで、こうした脆弱性から保護されます。
特に企業環境では、セキュリティパッチの適用ポリシーに従って、定期的にシステムを更新することが推奨されています。
Windowsのアップデート手順を詳しく知りたい方は、Windows 11アップグレード完全ガイドもあわせてご覧ください。
まとめ:BitLockerで安全なデジタルライフを
Windows 11のBitLockerは、デジタル時代における大切なデータを守るための強力なツールです。この記事で解説した内容をまとめると:
- BitLockerはWindows 11 Proに搭載されたドライブ暗号化機能で、データ漏洩リスクを大幅に低減できる
- 設定は比較的簡単だが、回復キーの保管は絶対に忘れないこと
- 外付けドライブの暗号化も可能で、持ち運びデータの安全性を高められる
- パフォーマンスへの影響は最新のパソコンではほとんど感じられないレベル
- セキュリティ脆弱性に対応するため、常にWindows Updateを適用しておくことが重要
デジタル社会では、情報漏洩のリスクは常に存在します。特にテレワークやモバイルワークが一般化した現在、パソコンの紛失や盗難によるデータ漏洩は現実的な脅威です。BitLockerを活用することで、そうしたリスクから大切なデータを守ることができます。
BitLockerの設定は少し手間に感じるかもしれませんが、一度設定してしまえば普段はほとんど意識することなく使用できます。その手軽さと強力なセキュリティのバランスが、BitLockerの大きな魅力と言えるでしょう。
もしWindows 11 Homeをお使いで、BitLockerの機能を利用したい場合は、Windows 11 Proへのアップグレードを検討してみてはいかがでしょうか。PCユービックでは、BitLocker対応の正規Windows 11を格安でご提供しています。
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