法人向けWindows・Officeライセンスの基礎知識
企業でPCを導入する際、避けて通れないのがWindows OSやMicrosoft Officeのライセンス選びです。適切なライセンスを選ぶことで、コスト削減はもちろん、業務効率の向上にもつながります。
しかし、法人向けのライセンスは種類が多く、価格体系も複雑なため、どれを選べばよいか迷ってしまうことも少なくありません。特に中小企業のIT担当者にとっては、頭を悩ませる問題となっています。
この記事では、2025年9月現在の最新情報をもとに、法人向けWindows・Officeライセンスの種類や価格、選び方のポイントについて詳しく解説します。コスト削減と業務効率化の両立を目指す企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
Windows・Officeライセンスの種類と特徴
法人向けのWindows・Officeライセンスは大きく分けて「買い切り型(永続ライセンス)」と「サブスクリプション型」の2種類があります。それぞれの特徴を理解することが、適切な選択の第一歩となります。
買い切り型(永続ライセンス)の特徴
買い切り型は一度購入すれば、期限の制限なく使い続けられるライセンス形態です。初期投資は大きくなりますが、長期的に見ればコストメリットが出やすい特徴があります。
例えば、Windows 11 ProやOffice 2021 Professional Plusなどが、この買い切り型に該当します。一般的に、1つのライセンスにつき2台のパソコンにインストールできるものが多いですが、製品によって異なる場合もあるので注意が必要です。
買い切り型の最大のメリットは、継続的な支払いが不要な点です。特に、頻繁なバージョンアップを必要としない業務や、安定した環境を長く維持したい場合に適しています。
ただし、新機能の追加やセキュリティアップデートは限定的であり、いずれサポートが終了する点は理解しておく必要があります。
サブスクリプション型の特徴
サブスクリプション型は、月額または年額で利用料を支払い続ける形態です。Microsoft 365(旧Office 365)が代表的な例で、常に最新バージョンを利用できることが大きな特徴です。
初期投資を抑えられる点や、複数のデバイス(PC、タブレット、スマートフォンなど)で利用できる柔軟性が魅力です。また、クラウドストレージやチームコラボレーションツールなど、買い切り型にはない追加機能も利用できます。
特に、リモートワークを導入している企業や、複数拠点で業務を行う企業にとっては、サブスクリプション型の方が便利なケースが多いです。
ただし、長期的に見ると総コストは買い切り型より高くなる可能性があります。また、契約を停止するとソフトウェアが使えなくなるため、継続的な予算確保が必要です。
サブスクリプション型のOfficeには、法人向けのMicrosoft 365 Apps for businessやMicrosoft 365 Business Standardなどがあります。
法人向けWindowsライセンスの価格と選び方
法人でWindowsを導入する際、主に選択肢となるのはWindows 11 ProとWindows 11 Homeです。それぞれの特徴と価格を見ていきましょう。
Windows 11 Proと11 Homeの違い
Windows 11 Proは、ビジネス向けの機能が充実しており、ドメイン参加やグループポリシー、BitLockerドライブ暗号化などのセキュリティ機能が標準で搭載されています。
一方、Windows 11 Homeは個人利用を想定しており、基本的な機能は備えているものの、上記のようなビジネス向け機能は制限されています。
法人利用の場合、特に複数台のPC管理やセキュリティ対策を考慮すると、Windows 11 Proを選択するケースが多いです。
Windows永続ライセンスの価格相場
2025年9月現在、Windows 11 Proの永続ライセンスは、正規品であれば9,000円~10,000円程度で購入できます。Windows 11 Homeは8,000円~9,000円程度が相場となっています。
PCubikでは、Windows 11 Pro 日本語版の正規ライセンス付きUSBメモリを9,900円、Windows 11 Home 日本語版の正規ライセンス付きUSBメモリを8,800円で提供しています。
ライセンスのみの販売と、USBメモリやDVDなどの物理メディア付きの販売があるため、導入方法に合わせて選ぶとよいでしょう。
ボリュームライセンスとは
多数のPCにWindowsを導入する場合、ボリュームライセンスの検討も必要です。ボリュームライセンスとは、複数のライセンスをまとめて購入できる契約形態で、台数に応じた割引が適用されることがあります。
ただし、最近ではクラウドベースの管理が主流となり、従来のボリュームライセンスプログラムからCSP(Cloud Solution Provider)などの新しいライセンス形態への移行が進んでいます。
中小企業の場合、管理の手間を考えると、個別ライセンスの購入の方がシンプルで分かりやすいケースも多いです。特に10台未満の導入であれば、個別購入でも十分対応できるでしょう。
法人向けOfficeライセンスの価格と選び方
Officeソフトは業種や業務内容を問わず、ほとんどの企業で必要とされるソフトウェアです。法人向けOfficeライセンスには様々な種類があり、それぞれ価格も機能も異なります。
買い切り型Office(永続ライセンス)の種類と価格
買い切り型のOfficeには、主に以下のような種類があります。
- Office Professional Plus 2021
- Office Home & Business 2021/2019
- Office 2024 Home & Business
- Office 2021 Pro Plus
PCユービックでの価格例を見ると、Office Professional Plus 2021 OEMの正規ライセンスDVD付き日本語版が9,900円、Office Home & Business 2019 OEMの日本語ライセンスカードが8,800円で提供されています。
また、最新版のOffice 2024 Home & Businessは38,500円、Office 2021 Pro Plusのダウンロード版は5,500円となっています。
サブスクリプション型Office(Microsoft 365)の種類と価格
サブスクリプション型のMicrosoft 365には、主に以下のようなプランがあります。
- Microsoft 365 Business Basic
- Microsoft 365 Business Standard
- Microsoft 365 Business Premium
- Microsoft 365 Apps for business
2025年7月時点での月額料金は、Business Basicが約660円/ユーザー、Business Standardが約1,360円/ユーザー、Business Premiumが約2,180円/ユーザー、Apps for businessが約900円/ユーザーとなっています。
サブスクリプション型は機能面で優れており、常に最新版を利用できるほか、複数デバイスでの利用やクラウドストレージ、Teams等のコラボレーションツールも含まれています。
Office LTSCとは
Office LTSCは、Long Term Servicing Channelの略で、インターネットに接続できない環境や、システムの安定性を重視する医療機関や製造業などで利用されることが多い永続ライセンスです。
一般向けOffice 2024と法人向けOffice 2024 LTSCの主な違いは、アップデートの内容にあります。一般向けOfficeはセキュリティ更新と限定的な機能追加が行われるのに対し、LTSCはセキュリティ更新のみとなっています。
価格は一般向けのOffice Home & Business 2024が約39,582円なのに対し、Office LTSC Standard 2024は70,000円~110,000円程度と高額になっています。
2025年のMicrosoft価格改定について
Microsoft社は定期的に価格改定を行っており、2025年も4月1日に法人向けソフトウェアの価格改定が実施されました。この価格改定は、クラウドサービスやライセンス契約に影響を与えています。
改定の対象となったプロダクト
2025年4月の価格改定では、以下のような製品が対象となりました。
- Windows Server(月額/従量)
- Microsoft SQL Server Standard Edition + Windows Server(月額)
- Microsoft SQL Server Enterprise Edition + Windows Server(月額)
- Microsoft Office Standard ライセンス
- Microsoft Office Professional Plus ライセンス
これらの価格改定は、クラウドサービスでWindowsやOfficeを利用している企業にも影響を与えています。
価格改定の影響と対策
価格改定により、多くの企業ではIT予算の見直しが必要になっています。特に多数のライセンスを保有している大企業では、コスト増加が経営に与える影響も小さくありません。
対策としては、以下のような方法が考えられます。
- 必要なライセンス数の精査と最適化
- 買い切り型とサブスクリプション型の適切な組み合わせ
- 代替ソフトウェアの検討
- ライセンス管理の効率化
また、価格改定前に必要なライセンスを購入しておくことも、短期的なコスト削減につながります。
コスト削減につながるライセンス選びのポイント
法人向けWindows・Officeライセンスを選ぶ際、コスト削減と業務効率化を両立させるためのポイントをご紹介します。
買い切り型とサブスクリプション型の使い分け
全社一律でどちらかを選ぶのではなく、部署や業務内容に応じて使い分けることがコスト削減につながります。
例えば、基幹システムを利用するだけの定型業務を行う部署には買い切り型、営業部門やプロジェクトチームなど外出先でも作業する必要がある部署にはサブスクリプション型を導入するといった使い分けが効果的です。
OEMライセンスとリテールライセンスの違い
OEMライセンスとは、PCメーカーがプリインストールしているライセンスのことで、そのPC専用のライセンスとなります。一方、リテールライセンスは小売り向けに販売されているライセンスで、PCを買い替えても引き続き使用できます。
コスト面ではOEMライセンスの方が安価ですが、PCの買い替え時に再度ライセンスを購入する必要があります。長期的なコスト削減を考えるなら、PCの更新サイクルも考慮した選択が必要です。
必要な機能だけを選ぶ
特にOfficeの場合、すべての機能が必要とは限りません。例えば、Word、Excel、PowerPointだけあれば十分という場合は、Outlookなどが含まれない低価格のプランを選ぶことでコスト削減につながります。
Microsoft 365の場合、Apps for businessプランはOfficeアプリケーションのみを提供するため、他の機能が不要であれば、このプランを選択することでコストを抑えられます。
正規品を安く購入する方法
Windows・Officeライセンスを安く購入するには、以下のような方法があります。
- 複数ライセンスをまとめて購入する(ボリュームディスカウント)
- 法人向け特別価格を提供している販売店を利用する
- セール時期を狙って購入する
- アカデミック版(教育機関向け)の利用を検討する(条件あり)
ただし、あまりに安価なライセンスは偽造品や不正品の可能性もあるため、信頼できる販売店から購入することが重要です。
法人向けライセンス購入時の注意点
法人でWindows・Officeライセンスを購入する際には、いくつかの注意点があります。トラブルを避けるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
正規品の見分け方
残念ながら、市場には偽造品や不正なライセンスも出回っています。正規品を見分けるポイントとしては、以下のような点があります。
- 信頼できる販売店やメーカー公式サイトから購入する
- あまりに市場価格より安すぎる商品は疑ってみる
- 正規認証保証が付いているか確認する
- ライセンス認証後もMicrosoftアカウントで確認できるか
PCユービックでは、すべての商品に正規認証保証が付いており、万一商品に不具合や相違があった場合には、返品または交換による対応を行っています。
ライセンス認証と管理の方法
購入したライセンスは適切に認証し、管理する必要があります。特に法人の場合、複数のライセンスを管理することになるため、以下のような点に注意しましょう。
- ライセンスキーやアカウント情報を安全に保管する
- ライセンスの使用状況を定期的に確認する
- ライセンス管理台帳を作成し、更新日や契約内容を記録する
- 担当者が変わっても引継ぎできるよう、管理方法を文書化する
サブスクリプション型の場合は、契約更新日も重要です。更新忘れによるサービス停止を防ぐため、カレンダーに登録するなどの対策をしておくとよいでしょう。
インボイス対応と経費処理
2023年10月から導入されたインボイス制度に対応した請求書の発行は、経費処理の面で重要です。PCユービックでは、インボイス制度に対応した適格請求書をPDF形式で発行可能です。
法人購入の場合は、以下のような点にも注意が必要です。
- 発注書や見積書の保管
- 納品書・請求書の確認と保管
- 資産計上とソフトウェア管理台帳への記録
- 減価償却の処理(買い切り型の場合)
特に買い切り型のライセンスは固定資産として扱われることが多いため、会計処理についても確認しておきましょう。
まとめ:最適なライセンス選びで業務効率化とコスト削減を実現
法人向けWindows・Officeライセンスの選び方について、種類や価格、選び方のポイントを解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
- ライセンスには「買い切り型」と「サブスクリプション型」があり、それぞれメリット・デメリットがある
- Windows 11は法人利用ならProがおすすめだが、用途によってはHomeでも十分な場合もある
- Officeは必要な機能に応じて適切なプランを選ぶことでコスト削減につながる
- 2025年4月のMicrosoft価格改定の影響を考慮した計画が必要
- 正規品の購入と適切なライセンス管理が重要
企業規模や業務内容、予算に応じて最適なライセンスを選ぶことで、業務効率化とコスト削減の両立が可能です。特に中小企業では、ITコストの最適化が経営に直結するため、慎重な検討が必要です。
PCユービックでは、Windows 11 ProやOffice製品の正規ライセンスを格安価格で提供しています。すべての商品に正規認証保証が付いており、法人・団体からの注文にも柔軟に対応しているため、ライセンス導入をお考えの企業担当者の方はぜひ検討してみてください。
コスト削減と業務効率化を両立させる最適なライセンス選びで、企業のIT環境を強化しましょう。