法人向けOfficeライセンスの基本と最新動向
法人でMicrosoft Officeを導入する際、どのライセンス形態を選ぶべきか悩まれる担当者は多いのではないでしょうか。2025年9月現在、Office製品には大きく分けて「買い切り型」と「サブスクリプション型」の2種類が提供されています。
特に中小企業では、初期コストとランニングコストのバランスを考慮しながら、最適なOfficeライセンスを選定することが重要です。適切なライセンス選びは、企業の業務効率化だけでなく、コスト削減にも直結する重要な意思決定となります。
私はソフトウェア販売に携わるITライターとして、多くの企業のOffice導入をサポートしてきました。この記事では、2025年最新の法人向けOfficeライセンスの種類や価格、選び方のポイントを徹底解説します。ぜひ最後までお読みいただき、貴社に最適なOfficeライセンスの選定にお役立てください。
買い切り型とサブスクリプション型の基本的な違い
まずは、Officeライセンスの2つの形態について基本的な違いを押さえておきましょう。この違いを理解することが、最適な選択への第一歩となります。
買い切り型のOfficeは、一度購入すれば永続的に使用できるライセンス形態です。2025年9月現在、最新バージョンは「Office 2024」となっています。初期投資は大きいものの、長期的に使用する場合はコスト面で有利になる可能性があります。
一方、サブスクリプション型は「Microsoft 365」として提供されており、月額または年額の利用料を支払うことで最新のOfficeアプリケーションやクラウドサービスが利用できます。初期コストを抑えられる反面、継続的な支払いが必要になります。
両者の主な違いは以下の通りです。
- 購入形態:買い切り型は一括購入、サブスク型は定額課金
- 使用期限:買い切り型は永久、サブスク型は契約期間中のみ
- インストール可能台数:買い切り型はPC2台、サブスク型はPC5台・タブレット5台・スマートフォン5台(合計15デバイス)
- アップデート:買い切り型はセキュリティ更新のみ、サブスク型は常に最新機能が利用可能
- クラウドサービス:買い切り型はなし、サブスク型はあり
法人利用においては、単にコストだけでなく、運用面や将来的な拡張性も考慮して選択する必要があります。社内のIT環境や業務内容に合わせて、最適なライセンス形態を選びましょう。
どちらを選ぶべきか迷った場合は、「3年以上使用するなら買い切り型、最新機能やクラウドサービスが必要なら、あるいは複数デバイスでの利用が多いならサブスク型」という基準で考えるとよいでしょう。
法人向け買い切り型Officeの種類と価格比較
法人向けの買い切り型Officeには、一般向けの「Office 2024」と法人向けの「Office 2024 LTSC」があります。それぞれの特徴と価格を詳しく見ていきましょう。
「Office 2024 LTSC」は、Long-Term Servicing Channelの略で、インターネット接続が制限された環境や、頻繁な更新が難しい医療機関・製造業・公共機関などでの利用を想定して開発されています。セキュリティ更新のみを受け取り、機能更新は最小限に抑えられているため、安定した環境を維持したい組織に適しています。
2025年9月現在の主な法人向け買い切り型Officeの種類と価格は以下の通りです。
- Office Home & Business 2024:39,582円(参考価格、税込)
- Office LTSC Standard 2024:70,000円~110,000円(参考価格、税込)
- Office LTSC Professional Plus 2024:100,000円~150,000円(参考価格、税込)
Office LTSC版は、CSP(Cloud Solution Provider)ライセンスプログラムを通じて提供されており、1ライセンスから購入可能です。また、ダウングレード権も付与されているため、Office 2021 LTSCやOffice 2019 LTSCなど過去のバージョンも利用できます。
Office LTSC版の大きな特徴は、Microsoft管理センターでライセンスを一元管理できる点です。これにより、複数のライセンスを効率的に管理することが可能になります。特に多数のPCを管理する中規模以上の企業では、この管理機能が大きなメリットとなるでしょう。
買い切り型Officeの主なメリット
買い切り型Officeには、以下のようなメリットがあります。
- 一度購入すれば追加費用なく永続的に使用できる
- インターネット接続が不安定な環境でも問題なく使用できる
- 長期的に見るとコスト面で有利になる可能性がある
- バージョンアップの頻度が少なく、操作方法の再学習が少なくて済む
- 予算計画が立てやすい(初期投資のみで済む)
特に、安定した環境を重視する企業や、長期間同じバージョンを使い続ける方針の企業には、買い切り型が適しているでしょう。
買い切り型Officeの主なデメリット
一方で、買い切り型Officeには以下のようなデメリットも存在します。
- 初期投資額が大きい
- 新機能の追加がほとんどない(セキュリティ更新のみ)
- クラウドサービスが含まれていない
- インストール可能台数が限られている(通常2台まで)
- サポート期間が限定されている(通常5年間)
最新機能を活用したい企業や、複数デバイスでの利用が多い企業には、サブスクリプション型の方が適している可能性があります。
法人向けサブスクリプション型Officeの種類と価格比較
サブスクリプション型のOfficeは「Microsoft 365」として提供されており、法人向けには主に「Businessプラン」と「Enterpriseプラン」があります。それぞれのプランと価格を詳しく見ていきましょう。
一般的な中小企業向けの「Businessプラン」には、以下の4つのプランがあります。
- Microsoft 365 Business Basic:660円/月(ユーザーあたり、税込)
- Microsoft 365 Business Standard:1,430円/月(ユーザーあたり、税込)
- Microsoft 365 Business Premium:2,310円/月(ユーザーあたり、税込)
- Microsoft 365 Apps for business:990円/月(ユーザーあたり、税込)
大企業向けの「Enterpriseプラン」には、以下の3つの主要プランがあります。
- Microsoft 365 F3:特定業務向けの限定機能プラン
- Microsoft 365 E3:標準的な機能を搭載したプラン
- Microsoft 365 E5:高度なセキュリティ機能や分析ツールを含む最上位プラン
それぞれのプランによって含まれる機能やサービスが異なりますので、自社の業務内容や規模に合わせて最適なプランを選択することが重要です。
Microsoft 365 Businessプランの機能比較
中小企業向けの各Businessプランの主な機能を比較してみましょう。
- Business Basic:Web版のOfficeアプリ、Exchange Online(メール)、SharePoint、Teams、OneDriveなどが利用可能
- Business Standard:Basic機能に加え、デスクトップ版のOfficeアプリ(Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Access、Publisherなど)が利用可能
- Business Premium:Standard機能に加え、高度なセキュリティ機能やデバイス管理機能が利用可能
- Apps for business:デスクトップ版のOfficeアプリのみが利用可能(Exchange OnlineやTeamsなどのサービスは含まれない)
特に注目すべきは、Business Premiumに含まれる高度なセキュリティ機能です。ランサムウェア対策やデータ保護機能など、中小企業でも企業レベルのセキュリティを実現できる点が大きなメリットとなっています。
サブスクリプション型Officeの主なメリット
サブスクリプション型Officeには、以下のようなメリットがあります。
- 初期投資を抑えられる
- 常に最新バージョンのOfficeアプリが利用できる
- 複数デバイス(PC、タブレット、スマートフォン)で利用可能
- クラウドサービス(Teams、SharePoint、OneDriveなど)が含まれている
- 柔軟にユーザー数を増減できる
特に、複数のデバイスを使い分ける働き方や、テレワークを導入している企業には、サブスクリプション型が適しているでしょう。
サブスクリプション型Officeの主なデメリット
一方で、サブスクリプション型Officeには以下のようなデメリットも存在します。
- 継続的な支払いが必要
- 契約終了後は利用できなくなる
- 長期間使用すると総コストが高くなる可能性がある
- インターネット接続が前提となる機能が多い
- 頻繁な更新により操作方法が変わることがある
長期的な利用を前提とする場合や、安定した環境を重視する企業では、買い切り型の方が適している可能性があります。
法人向けOfficeライセンスの選び方ポイント
法人向けOfficeライセンスを選ぶ際には、以下のポイントを考慮することをおすすめします。自社の状況に合わせて最適な選択をしましょう。
1. 利用期間とコスト
まず検討すべきは、どれくらいの期間Officeを使用する予定かということです。短期間の利用ならサブスクリプション型、長期間(3年以上)の利用なら買い切り型が有利になる傾向があります。
例えば、Microsoft 365 Business Standardの場合、月額1,430円(年間17,160円)のコストがかかります。一方、Office Home & Business 2024は39,582円の一括支払いです。単純計算すると、約2年4ヶ月で買い切り型の方がコスト面で有利になります。
ただし、この計算にはクラウドサービスの価値や最新機能の利用価値は含まれていません。純粋なコスト面だけでなく、得られる機能や利便性も考慮して判断しましょう。
2. 必要な機能とサービス
次に、どのような機能やサービスが必要かを検討します。基本的なOfficeアプリ(Word、Excel、PowerPointなど)だけを使用するなら買い切り型でも十分かもしれません。
しかし、以下のようなニーズがある場合は、サブスクリプション型が適しています。
- Teams、SharePoint、OneDriveなどのクラウドサービスを活用したい
- 常に最新機能を利用したい
- 複数のデバイスで同じアカウントを使用したい
- 社内のコミュニケーションツールを統合したい
特に、テレワークやハイブリッドワークを導入している企業では、Teamsなどのコラボレーションツールが不可欠となっているケースが多いでしょう。
3. 管理のしやすさ
ライセンス管理の観点も重要です。サブスクリプション型のMicrosoft 365は、管理者ポータルからユーザーの追加・削除や権限設定などを一元的に行えます。これにより、従業員の入退社時のライセンス管理が容易になります。
一方、買い切り型の場合、特にパッケージ版では個別にインストールと管理が必要となり、管理コストが増大する可能性があります。ただし、Office LTSC版ではMicrosoft管理センターでの一元管理が可能です。
多数のPCを管理する必要がある中規模以上の企業では、管理のしやすさも重要な選択基準となるでしょう。
4. セキュリティ要件
セキュリティ要件も重要な検討ポイントです。Microsoft 365、特にPremiumプランやEnterpriseプランには、高度なセキュリティ機能が含まれています。
- 多要素認証
- 条件付きアクセス
- データ損失防止(DLP)
- 高度な脅威保護
- デバイス管理機能
セキュリティリスクが高い業界や、機密データを扱う企業では、これらの機能が大きなメリットとなるでしょう。
5. インターネット環境
社内のインターネット環境も考慮すべき要素です。サブスクリプション型のMicrosoft 365は、多くの機能がクラウドベースであるため、安定したインターネット接続が前提となります。
インターネット接続が不安定な環境や、セキュリティ上の理由でインターネット接続を制限している環境では、買い切り型のOfficeが適しているかもしれません。特にOffice LTSC版は、このようなオフライン環境を想定して設計されています。
業種・企業規模別おすすめOfficeライセンス
業種や企業規模によって、最適なOfficeライセンスは異なります。ここでは、代表的な業種・企業規模別におすすめのライセンスをご紹介します。
小規模事業者(1~10名程度)
小規模事業者の場合、初期コストを抑えつつ必要な機能を利用できるサブスクリプション型が適しているケースが多いです。
- おすすめ:Microsoft 365 Business Standard
- 理由:初期コストを抑えられる、必要なOfficeアプリとクラウドサービスがすべて含まれている、管理が容易
ただし、単にWord、Excel、PowerPointのみを使用する場合で、長期利用を前提とするなら、Office Home & Business 2024も選択肢となります。
中規模企業(11~100名程度)
中規模企業では、セキュリティ要件やコラボレーションニーズが高まるため、より高機能なプランが適しています。
- おすすめ:Microsoft 365 Business Premium
- 理由:高度なセキュリティ機能が含まれている、デバイス管理機能が利用できる、コラボレーションツールが充実している
特に、テレワークを導入している企業や、BYOD(私物デバイスの業務利用)を許可している企業では、セキュリティ機能が充実したPremiumプランが安心です。
大企業(101名以上)
大企業では、高度な管理機能やセキュリティ機能が必要となるため、Enterpriseプランが適しています。
- おすすめ:Microsoft 365 E3またはE5
- 理由:高度な管理機能、包括的なセキュリティ対策、コンプライアンス機能、高度な分析ツール(E5の場合)
特に規制の厳しい業界(金融、医療、公共機関など)では、コンプライアンス機能が充実したE5プランが適しているでしょう。
特殊環境(オフライン環境、高セキュリティ要件など)
インターネット接続が制限された環境や、特に高いセキュリティが求められる環境では、買い切り型のOffice LTSC版が適しています。
- おすすめ:Office LTSC Professional Plus 2024
- 理由:オフライン環境でも安定して動作する、更新頻度が少なく環境が安定している、高度なセキュリティポリシーに対応しやすい
医療機関や製造業の生産管理システム、公共機関などでは、このようなオフライン対応のOffice LTSCが選ばれるケースが多いです。
法人向けOfficeライセンス導入時の注意点
最後に、法人向けOfficeライセンスを導入する際の注意点をいくつかご紹介します。これらのポイントを押さえておくことで、スムーズな導入と運用が可能になります。
1. ライセンス認証と管理
Officeライセンスの認証方法と管理方法を事前に確認しておきましょう。特に買い切り型のOfficeでは、インストール時にライセンス認証が必要となります。また、再インストールの際に必要となるプロダクトキーの管理も重要です。
サブスクリプション型のMicrosoft 365では、管理者ポータルからユーザーアカウントとライセンスの紐づけを行います。アカウント管理の担当者を明確にし、手順を文書化しておくとよいでしょう。
2. 互換性の確認
既存のシステムやファイルとの互換性を事前に確認しておくことも重要です。特に、マクロを多用したExcelファイルや、カスタマイズされたWordテンプレートなどは、バージョンによって動作が異なる場合があります。
導入前にテスト環境で検証するか、少数のユーザーで先行導入してから全社展開するなどの段階的なアプローチがおすすめです。
3. トレーニングの実施
新しいバージョンのOfficeやMicrosoft 365を導入する際は、ユーザー向けのトレーニングを実施することも検討しましょう。特にサブスクリプション型のMicrosoft 365では、TeamsやSharePointなどの新しいツールの使い方を習得する必要があります。
基本的な操作方法だけでなく、業務効率を高める活用方法についても教育することで、投資効果を最大化できます。
4. コスト計算の精緻化
ライセンスコストを比較する際は、単純な価格比較だけでなく、総所有コスト(TCO)の観点から検討することが重要です。
- 初期導入コスト(ライセンス料、導入支援費用など)
- 運用コスト(管理工数、トレーニングコストなど)
- アップグレードコスト(買い切り型の場合)
- 関連サービスの追加コスト(買い切り型でクラウドサービスが必要な場合)
これらを総合的に考慮して、中長期的な視点でコスト比較を行いましょう。
5. 正規ライセンスの確保
最後に、必ず正規ライセンスを購入することが重要です。非正規ライセンスを使用すると、セキュリティリスクやコンプライアンス違反のリスクが高まります。
信頼できるベンダーから購入するようにしましょう。特に格安のライセンスを提供しているサイトには注意が必要です。正規品保証付きのライセンスを提供している信頼できるショップを選ぶことをおすすめします。
まとめ:自社に最適なOfficeライセンスを選ぼう
法人向けOfficeライセンスには、買い切り型とサブスクリプション型の2種類があり、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。どちらが最適かは、自社の業務内容、規模、予算、IT環境などによって異なります。
買い切り型は長期利用を前提とした場合にコスト面で有利になる可能性があり、安定した環境を重視する企業に適しています。一方、サブスクリプション型は初期コストを抑えられ、常に最新機能を利用できるほか、クラウドサービスも含まれているため、柔軟な働き方を実現したい企業に適しています。
本記事でご紹介したポイントを参考に、自社に最適なOfficeライセンスを選択し、業務効率の向上とコスト最適化を実現してください。
なお、正規ライセンスの確保は非常に重要です。セキュリティリスクやコンプライアンス違反を避けるためにも、信頼できるベンダーから購入することをおすすめします。
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最適なOfficeライセンスの選択で、貴社のビジネスがさらに発展することを願っています。