法人でMicrosoft Officeを導入する際、どのライセンス形態を選ぶべきか悩むことはありませんか? 永続ライセンスとサブスクリプション、さまざまなプラン、そして適切な購入方法。選択肢が多すぎて、最適な判断が難しいものです。
この記事では、2025年7月現在の最新情報をもとに、法人向けOfficeライセンスの種類、選び方、そして導入手順までを徹底解説します。コスト削減と業務効率化の両立を目指す企業担当者の方に、最適な選択肢を提案します。
「うちの会社に合ったOfficeライセンスはどれ?」という疑問にお答えします。
法人向けOfficeライセンスの基本と種類
法人でOfficeを導入する際、まず理解すべきなのは大きく分けて2種類のライセンス形態があるということです。「買い切り型」と「サブスクリプション型」です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
この選択は、単なる費用の問題ではなく、会社の業務スタイルやIT戦略に大きく影響する重要な決断なのです。
買い切り型ライセンス(永続ライセンス)
買い切り型ライセンスは、一度購入すれば永続的に使用できるタイプのライセンスです。2025年7月現在、最新の買い切り型Officeは「Office 2024」シリーズです。
法人向けには「Office 2024 LTSC」という特別なバージョンが用意されています。LTSCとは「Long Term Servicing Channel」の略で、長期サポートを前提とした製品です。
買い切り型の主な特徴は以下の通りです。
- 初期費用は高いが、長期利用でコスト削減が可能
- 1つのライセンスで通常2台のPCにインストール可能
- バージョンアップは別途購入が必要
- サポート期間は限定的(Office 2024は2029年10月9日まで)
- クラウド機能は限定的または非対応
特に、インターネットに常時接続できない環境や、セキュリティ上の理由でクラウドサービスを利用できない公共機関、医療機関、製造業などに適しています。
サブスクリプション型ライセンス(Microsoft 365)
サブスクリプション型は、月額または年額で利用料を支払い続ける形態です。Microsoft 365(旧Office 365)がこれにあたります。
常に最新バージョンのOfficeアプリが利用できる上、クラウドサービスも含まれているのが大きな特徴です。2024年4月にプラン改定があり、Teamsが分離されたことに注意が必要です。
- 定期的な支払いが発生(月額または年額)
- 常に最新版のOfficeアプリが利用可能
- 1ユーザーあたり最大15デバイス(PC5台・タブレット5台・スマホ5台)で利用可能
- OneDriveやExchange Onlineなどのクラウドサービスが含まれる
- 契約期間中は無期限でサポートを受けられる
情報共有やリモートワークを重視する企業、常に最新機能を活用したい企業に適しています。
法人に最適なOfficeライセンスの選び方
では、自社に最適なOfficeライセンスをどのように選べばよいのでしょうか? いくつかの重要な観点から検討していきましょう。
正しい選択は、単に価格だけでなく、会社の規模、業務内容、将来のIT戦略までを考慮する必要があります。
費用面での比較
まずは費用面から比較してみましょう。一見すると買い切り型の方が高く見えますが、長期的に見るとどうでしょうか?
例えば、Office Home & Business 2024(買い切り型)は約4万円程度で購入できます。一方、Microsoft 365 Business Standardは年間約1万8千円程度のコストがかかります。
単純計算すると、約2年強で買い切り型の初期投資が回収できるように見えます。しかし、実際にはバージョンアップのコストや、サブスクリプションに含まれるクラウドサービスの価値も考慮する必要があります。
5年間使い続けた場合、買い切り型は初期費用のみですが、サブスクリプション型は5年分の利用料が発生します。ただし、その間にOfficeの大型アップデートがあれば、買い切り型は追加購入が必要になる可能性があります。
運用管理の容易さ
ライセンス管理の手間も重要な検討ポイントです。特に複数のユーザーがいる法人では、管理のしやすさが業務効率に直結します。
買い切り型の場合、端末ごとにライセンス管理が必要になり、PCの入れ替えの際には再インストールや認証の手続きが発生します。
一方、サブスクリプション型のMicrosoft 365では、管理センターからユーザーアカウント単位で一元管理が可能です。ユーザーの追加・削除も簡単で、PCが変わっても同じアカウントでログインするだけで利用できます。
特に、頻繁に人事異動がある企業や、デバイスの入れ替えサイクルが短い企業では、サブスクリプション型の方が管理コストを抑えられる可能性が高いでしょう。
機能面での違い
機能面での違いも見逃せません。買い切り型のOffice 2024とサブスクリプション型のMicrosoft 365では、利用できる機能に差があります。
Microsoft 365には、OneDriveの1TBのストレージ容量、Exchange Onlineのビジネスメール、SharePoint Onlineなどのコラボレーションツールが含まれています。また、AI機能も充実しており、常に最新の機能が追加されていきます。
一方、Office 2024 LTSCは基本的なOfficeアプリ(Word、Excel、PowerPointなど)は使えますが、クラウド機能は限定的で、AIによる最新機能の追加もありません。セキュリティ更新プログラムは提供されますが、機能の大幅な追加は期待できません。
業務でクラウドサービスやコラボレーション機能を活用したい企業には、Microsoft 365が適しているでしょう。
法人規模別・最適なOfficeライセンス選択
企業の規模によって、最適なOfficeライセンスは異なります。ここでは、企業規模別に推奨プランを紹介します。
小規模企業(従業員数30名以下)向け
小規模企業では、コスト効率と導入のしやすさが重要です。従業員数が少ない場合は、以下のプランがおすすめです。
- Microsoft 365 Business Basic:クラウドサービス中心で、デスクトップ版Officeアプリが不要な場合
- Microsoft 365 Business Standard:デスクトップ版Officeアプリとクラウドサービスをフル活用したい場合
- Office Home & Business 2024:インターネット接続が限られた環境や、長期利用を前提とする場合
小規模企業では、特にIT管理者が専任でいないケースが多いため、管理の手間が少ないMicrosoft 365 Business Standardが人気です。ユーザー数の増減にも柔軟に対応できるメリットがあります。
中規模企業(従業員数30〜300名)向け
中規模企業では、セキュリティ機能やコンプライアンス対応も重要になってきます。
- Microsoft 365 Business Premium:セキュリティ機能が強化されており、情報漏洩対策やデバイス管理機能が充実
- Microsoft 365 Apps for business:Officeアプリのみを利用したい場合(メールやクラウドサービスは別途用意)
- Office 2024 LTSC:特定部門のみオフライン環境で利用する場合
中規模企業では、Microsoft 365 Business Premiumが総合的にバランスが良いでしょう。セキュリティ機能が充実しており、IT管理者の負担を軽減できます。
大規模企業(従業員数300名以上)向け
大規模企業では、高度なセキュリティ機能やコンプライアンス対応、そして大規模な展開と管理が重要になります。
- Microsoft 365 E3:高度なセキュリティ機能とコンプライアンス機能を備えたエンタープライズ向けプラン
- Microsoft 365 E5:E3の機能に加え、高度な分析機能やセキュリティ機能を強化したプレミアムプラン
- Office 2024 LTSC Volume License:大量導入向けのボリュームライセンス
大規模企業では、Microsoft 365 E3またはE5が推奨されます。特に、セキュリティやコンプライアンスへの要求が高い企業にはE5が適しています。
また、一部の部門だけOffline環境が必要な場合は、ハイブリッド構成(一部ユーザーはMicrosoft 365、一部ユーザーはOffice LTSC)も検討する価値があります。
法人向けOfficeライセンスの購入方法
法人向けOfficeライセンスの購入方法はいくつかあります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、最適な購入ルートを選びましょう。
マイクロソフト公式サイトからの購入
Microsoft 365のサブスクリプションは、マイクロソフト公式サイトから直接購入することができます。クレジットカード決済で、すぐに利用を開始できるのが特徴です。
少人数の企業や、すぐに導入したい場合に適しています。ただし、支払い方法が限られる点や、大量導入時の割引がない点がデメリットです。
公式サイトからの購入手順は以下の通りです。
- マイクロソフト公式サイトのビジネス向けページにアクセス
- 導入したいプランを選択
- 必要なライセンス数を入力
- 支払い情報を入力して購入完了
- 管理者アカウントでサインインし、ユーザーを追加・設定
公式サイトでは、1ヶ月の無料トライアルも提供されているので、導入前に試用することも可能です。
クラウドソリューションプロバイダー(CSP)経由での購入
マイクロソフトのパートナー企業であるクラウドソリューションプロバイダー(CSP)経由での購入も一般的です。CSPは、マイクロソフト製品の販売だけでなく、導入支援やサポートも提供しています。
CSP経由での購入には以下のメリットがあります。
- 請求書払いなど、多様な支払い方法に対応
- 導入支援やトレーニングなどの付加価値サービスが受けられる
- 日本語でのサポートが充実している
- ボリュームディスカウントが適用される場合がある
特に、IT部門が小規模または不在の企業や、導入時のサポートを重視する企業には、CSP経由での購入がおすすめです。
ボリュームライセンスプログラム
大規模な企業向けには、ボリュームライセンスプログラムも用意されています。多数のライセンスを一括管理できるため、大企業に適しています。
現在のボリュームライセンスプログラムは、従来のOpenライセンスから「CSP」へと移行しています。Software in CSPというプログラムで、Office 2024 LTSCなどの永続ライセンスも購入可能です。
ボリュームライセンスのメリットは以下の通りです。
- 大量導入時のコスト削減
- 一元的なライセンス管理
- ソフトウェアアシュアランス(SA)によるアップグレード権の取得
- 導入・展開ツールの提供
ボリュームライセンスの購入には、マイクロソフトのライセンス販売パートナーへの相談が必要です。
法人向けOfficeライセンスの導入手順
Officeライセンスを購入したら、実際に導入・展開する必要があります。ここでは、スムーズな導入のための手順を解説します。
Microsoft 365の導入手順
Microsoft 365を導入する場合の基本的な手順は以下の通りです。
- 管理者アカウントの作成と初期設定
- ドメインの追加と検証(独自ドメインを使用する場合)
- ユーザーアカウントの追加
- ライセンスの割り当て
- セキュリティ設定(多要素認証など)
- アプリケーションのインストール
特に重要なのは、セキュリティ設定です。多要素認証を有効にすることで、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
また、大規模な展開の場合は、グループポリシーやMicrosoft Intuneなどを活用して、一括展開することも可能です。
Office 2024 LTSCの導入手順
買い切り型のOffice 2024 LTSCを導入する場合は、以下の手順で進めます。
- インストールメディア(USBやISOファイル)の入手
- ボリュームライセンスの場合はKMSサーバーの設定
- 展開ツール(Microsoft Deployment Toolkit等)の準備
- カスタマイズ設定(必要に応じて)
- テスト環境での検証
- 本番環境への展開
- ライセンス認証の確認
大規模な展開では、イメージ展開やグループポリシーを活用することで、効率的に導入することができます。
ハイブリッド環境の構築
一部のユーザーにはMicrosoft 365、一部のユーザーにはOffice 2024 LTSCというハイブリッド環境を構築するケースも増えています。
例えば、営業部門や企画部門など外部とのコミュニケーションが多い部署にはMicrosoft 365を、製造現場や機密情報を扱う部署にはOffice 2024 LTSCを導入するといった使い分けです。
ハイブリッド環境を構築する際の注意点は以下の通りです。
- ファイル互換性の確認(最新機能を使ったファイルの共有方法)
- ユーザー教育(異なるバージョンの操作方法の違い)
- ライセンス管理の複雑化への対応
- セキュリティポリシーの統一
ハイブリッド環境は柔軟性が高い反面、管理の手間が増える点に注意が必要です。
法人向けOfficeライセンスの管理とコスト最適化
Officeライセンスを導入した後も、継続的な管理とコスト最適化が重要です。ここでは、効率的な管理方法とコスト削減のポイントを紹介します。
ライセンス管理の効率化
効率的なライセンス管理は、コスト削減と法令遵守の両面で重要です。
Microsoft 365の場合、管理センターから一元的にライセンスを管理できます。定期的に以下の点を確認しましょう。
- 未使用ライセンスの特定と再割り当て
- 退職者のアカウント無効化とライセンス回収
- 使用状況の分析と最適なプランへの見直し
- グループベースのライセンス割り当ての活用
特に人事異動や組織変更が多い企業では、定期的な棚卸しが重要です。未使用ライセンスを放置することは、無駄なコストにつながります。
コスト最適化のポイント
Officeライセンスのコストを最適化するためのポイントをいくつか紹介します。
- 年間契約の活用(月額より年額の方が割引率が高い)
- 必要なプランの見極め(全ユーザーに同じプランが必要とは限らない)
- ハイブリッド構成の検討(一部ユーザーのみサブスクリプション)
- ボリュームディスカウントの活用
- 非営利団体向け割引の確認(該当する場合)
また、Microsoft 365の場合、使用状況レポートを活用することで、実際の利用状況を把握し、過剰なライセンスを削減することができます。
セキュリティとコンプライアンスの確保
ライセンス管理は、セキュリティとコンプライアンスの観点からも重要です。
Microsoft 365では、セキュリティとコンプライアンスセンターを活用して、以下の対策を講じることができます。
- 多要素認証の強制適用
- 条件付きアクセスポリシーの設定
- データ損失防止(DLP)ポリシーの設定
- 監査ログの有効化と定期的な確認
- 情報保護ポリシーの設定
特に、テレワークが普及した現在、セキュリティ対策の重要性はさらに高まっています。Microsoft 365 Business PremiumやE5などの上位プランには、高度なセキュリティ機能が含まれているため、重要な情報を扱う企業には検討の価値があります。
格安Officeライセンスの選択肢と注意点
コスト削減のために、格安のOfficeライセンスを検討する企業も多いでしょう。ここでは、正規品でありながら格安で入手できる選択肢と、その注意点を解説します。
OEMライセンスとは
OEM(Original Equipment Manufacturer)ライセンスは、PCメーカーがプリインストールする形で提供するライセンスです。単体でも販売されており、正規品でありながら通常版より安価に入手できる場合があります。
PCユービックなどのショップでは、Windows 11 ProやOffice Professional Plus 2021などのOEMライセンスを格安で提供しています。これらは正規認証保証付きで、万一認証に問題があった場合は返品や交換に対応しています。
OEMライセンスの特徴は以下の通りです。
- 正規品だが、通常版より安価
- ライセンスキーのみの納品形態が多い
- 転売や譲渡に制限がある場合がある
- サポートが限定的な場合がある
法人利用の場合、インボイス対応の適格請求書が発行されるかどうかも確認しておくとよいでしょう。PCユービックではPDF形式でインボイス対応の請求書が発行されます。
永続ライセンスの活用法
永続ライセンス(買い切り型)を賢く活用することで、長期的なコスト削減が可能です。
例えば、Office 2021 Pro Plusのダウンロード版は、PCユービックでは5,500円程度で提供されています。これは正規ライセンスでありながら、マイクロソフト直販の永続ライセンスと比べて大幅に安価です。
永続ライセンスを活用する際のポイントは以下の通りです。
- 基本機能のみで十分なユーザーには永続ライセンスを割り当てる
- クラウド機能が必要なユーザーのみにMicrosoft 365を割り当てる
- サポート期間を考慮した計画的な導入
- 将来のアップグレードコストも含めた総所有コスト(TCO)の計算
特に、インターネット接続が限られた環境や、基本的なOffice機能のみを使用するユーザーには、永続ライセンスが適しています。
格安ライセンス購入時の注意点
格安ライセンスを購入する際は、以下の点に注意が必要です。
- 販売元の信頼性(レビューや実績の確認)
- 正規品保証の有無
- アクティベーション方法と制限
- サポート内容と期間
- 返品・交換ポリシー
- 法人利用時の請求書発行対応
PCユービックのような正規品保証付きのショップでは、すべての商品に正規認証保証が付いており、万一の場合は返品または交換による対応を行っています。また、法人・団体からの注文にも対応しており、複数個・複数種類の一括注文、お見積書・納品書・請求書(インボイス対応)の発行などのサービスを提供しています。
格安だからといって、不明な販売元からライセンスを購入することはリスクがあります。正規品であることの保証と、適切なサポートが受けられる販売元を選ぶことが重要です。
まとめ:自社に最適なOfficeライセンスを選ぶために
法人向けOfficeライセンスの選択は、単なるコスト比較だけでなく、業務内容、将来のIT戦略、管理の手間など、多角的な視点から検討する必要があります。
この記事のポイントをまとめると以下の通りです。
- 買い切り型(Office 2024/LTSC)とサブスクリプション型(Microsoft 365)の2種類がある
- 小規模企業にはMicrosoft 365 Business Standardが人気
- 中規模企業にはセキュリティ機能が充実したMicrosoft 365 Business Premiumがおすすめ
- 大規模企業にはMicrosoft 365 E3/E5が適している
- 購入方法は公式サイト、CSP、ボリュームライセンスなど複数ある
- 導入後の管理とコスト最適化も重要
- 格安ライセンスは正規品保証のある信頼できる販売元から購入する
自社に最適なOfficeライセンスを選ぶためには、現在の業務内容だけでなく、将来のデジタル化戦略も考慮することが大切です。クラウド活用を進める方針ならMicrosoft 365、セキュリティやオフライン環境を重視するならOffice 2024 LTSCが適しているでしょう。
また、すべてのユーザーに同じプランを適用するのではなく、業務内容に応じて最適なプランを選択するハイブリッドアプローチも検討する価値があります。
法人向けOfficeの導入は、単なるソフトウェア選びではなく、業務効率化とコスト最適化を両立させるための重要な経営判断です。この記事が皆様の最適な選択の一助となれば幸いです。