Officeでインボイス作成方法を完全解説〜Excel・Wordテンプレート活用術

インボイス制度とOffice活用の基礎知識

2023年10月からスタートしたインボイス制度。

適格請求書の発行が求められるようになり、多くの事業者が対応に追われています。特に中小企業や個人事業主にとって、専用システムの導入はコスト面でハードルが高く、手軽に使えるツールでの対応が現実的な選択肢となっています。

そこで注目されているのが、多くの方がすでに利用している「Microsoft Office」です。ExcelやWordを活用すれば、追加コストをかけずにインボイス対応の請求書を作成できます。実際、Microsoftの公式テンプレートサイト「楽しもうOffice」では、インボイス制度に対応した請求書テンプレートが無料で公開されており、2,000点以上のテンプレートから選べる環境が整っています。

本記事では、Officeを使ったインボイス作成の具体的な方法から、テンプレートのカスタマイズ、効率化のコツまで、実務に即した情報を網羅的にお届けします。

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インボイス制度で求められる記載事項とは

適格請求書として認められるためには、法律で定められた必須項目をすべて記載する必要があります。

インボイス制度 適格請求書 必須項目 チェックリスト適格請求書に必須の6つの項目

インボイス制度における適格請求書には、以下の6項目が必須となります。

  • 適格請求書発行事業者の登録番号 – 「T」から始まる13桁の番号
  • 取引年月日 – 商品やサービスを提供した日付
  • 取引内容 – 軽減税率の対象品目である場合はその旨を明記
  • 税率ごとに区分して合計した税込対価の額 – 8%と10%を分けて記載
  • 税率ごとに区分した消費税額等 – 各税率での消費税額を明示
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称 – 取引先の正式名称

これらの項目が一つでも欠けていると、受け取った側が仕入税額控除を受けられなくなってしまいます。取引先に迷惑をかけないためにも、正確な記載が求められます。

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従来の請求書との違いを理解する

インボイス制度導入前の請求書と比較すると、最も大きな違いは「登録番号」と「税率ごとの区分表示」です。従来は消費税額を一括で記載していればよかったのですが、現在は8%と10%の軽減税率対象品目を明確に区分し、それぞれの税込金額と消費税額を分けて記載する必要があります。

また、適格請求書発行事業者として登録していない事業者は、インボイスを発行できません。登録番号の取得は国税庁への申請が必要で、審査を経て交付されます。この登録番号がない請求書は、受け取った側が仕入税額控除を受けられないため、取引に影響が出る可能性があります。

Excelテンプレートを使ったインボイス作成手順

Excelは計算機能が優れているため、請求書作成に最適なツールです。

Microsoftの公式サイト「楽しもうOffice」では、インボイス制度に対応した請求書テンプレートが無料で提供されており、ダウンロードしてすぐに使い始められます。テンプレートを活用すれば、合計金額や消費税額が自動計算されるため、計算ミスのリスクを大幅に減らせます。

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Excel 請求書テンプレート インボイス対応 作成画面テンプレートのダウンロードと基本設定

まず、Microsoftの「楽しもうOffice」サイトにアクセスし、「インボイス制度」や「請求書」で検索します。複数のデザインが用意されているので、自社のイメージに合ったものを選びましょう。ダウンロードしたファイルを開くと、すでに基本的な項目が配置されています。

最初に行うべき設定は、自社情報の入力です。会社名・住所・電話番号・メールアドレスに加えて、最も重要な「適格請求書発行事業者登録番号」を正確に入力します。この登録番号は一度設定すれば、テンプレートを保存しておくことで次回以降の入力が不要になります。

次に、ロゴやブランドカラーを追加してカスタマイズすると、より専門的な印象を与えられます。Excelの「挿入」タブから画像を追加し、配色は「ページレイアウト」タブの「配色」から変更できます。

取引内容の入力と自動計算の活用

テンプレートには、品目・数量・単価・金額の欄がすでに用意されています。品目欄に商品名やサービス名を入力し、数量と単価を入力すると、金額が自動的に計算される仕組みになっています。

軽減税率対象品目がある場合は、税率8%と10%を明確に区分する必要があります。多くのテンプレートでは、税率を選択するドロップダウンリストが設定されており、選択すると自動的に税率ごとの小計と消費税額が計算されます。この自動計算機能により、手作業での計算ミスを防げます。

最後に、請求書番号と発行日を入力します。請求書番号は管理しやすいように、年月と連番を組み合わせた形式(例:2025-11-001)にすると便利です。

PDF化と電子保存の方法

作成した請求書は、PDF形式で保存することが一般的です。Excelの「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」を選び、ファイルの種類で「PDF」を選択するだけで、簡単にPDF化できます。

電子帳簿保存法により、2024年1月以降は電子取引で受領した取引情報を電子データのまま保存することが義務付けられています。作成したPDFファイルは、日付や取引先名がわかるファイル名で保存し、適切なフォルダ構造で管理することが重要です。クラウドストレージを活用すれば、バックアップも自動化でき、データ消失のリスクを軽減できます。

Wordテンプレートでプロフェッショナルな請求書を作る

Wordは文書作成に特化したツールで、デザイン性の高い請求書を作成できます。

計算機能ではExcelに劣りますが、レイアウトの自由度が高く、ブランドイメージを重視した請求書作りに向いています。Microsoftの公式テンプレートには、ビジネス向けのシンプルなデザインから、クリエイティブな業種に適したスタイリッシュなデザインまで、幅広い選択肢が用意されています。

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Word 請求書 デザイン テンプレート レイアウトWordテンプレートの選び方とカスタマイズ

Wordで請求書を作成する際は、まず「楽しもうOffice」から適切なテンプレートを選びます。業種や取引先の雰囲気に合わせて、フォーマルなデザインかカジュアルなデザインかを選択しましょう。

ダウンロードしたテンプレートを開いたら、まず自社情報を入力します。Wordの強みは、テキストボックスや図形を自由に配置できる点です。ロゴを大きく配置したり、会社のキャッチフレーズを追加したりと、ブランディングを意識したカスタマイズが可能です。

フォントや配色も簡単に変更できます。「デザイン」タブから「配色」や「フォント」を選択すれば、文書全体のスタイルを統一的に変更できます。ただし、読みやすさを優先し、あまり装飾的にしすぎないことが重要です。

表機能を活用した明細欄の作成

Wordの表機能を使えば、整然とした明細欄を作成できます。「挿入」タブから「表」を選択し、必要な行数と列数を指定します。一般的には、「品目」「数量」「単価」「金額」「税率」の5列構成が基本です。

表のデザインは「表ツール」の「デザイン」タブから変更できます。罫線の太さや色を調整することで、視認性を高められます。また、「レイアウト」タブでは、セルの幅や高さを細かく調整できるため、情報量に応じた最適なレイアウトが実現できます。

ただし、Wordでは自動計算機能が限定的です。金額の合計や消費税額は手動で計算して入力するか、Excelで計算した結果をコピー&ペーストする方法が現実的です。計算ミスを防ぐため、必ず電卓やExcelで検算することをお勧めします。

無料テンプレートサイトの活用法と注意点

Microsoft公式以外にも、多くのサイトでインボイス対応の請求書テンプレートが提供されています。

無料で利用できるテンプレートは、コストをかけずに多様なデザインを試せる点が魅力です。ただし、利用する際にはいくつかの注意点があります。特に、インボイス制度の必須項目がすべて含まれているか、最新の法令に対応しているかを確認することが重要です。

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信頼できるテンプレート提供サイトの見分け方

テンプレートを選ぶ際は、提供元の信頼性を確認しましょう。Microsoft公式の「楽しもうOffice」や、会計ソフト会社が提供するテンプレートは、法令対応が確実で安心して利用できます。

一方、個人が運営するサイトや海外のテンプレートサイトでは、日本のインボイス制度に完全対応していない場合があります。ダウンロード前に、サンプル画像やプレビュー機能で記載項目を確認し、適格請求書の必須6項目がすべて含まれているかチェックしましょう。

また、ダウンロード時にはウイルス対策ソフトでスキャンすることも忘れずに。信頼性の低いサイトからのダウンロードは、マルウェア感染のリスクがあります。

テンプレートのカスタマイズで差別化を図る

無料テンプレートをそのまま使うと、他社と同じデザインになってしまいます。自社のブランドイメージを反映させるため、適度なカスタマイズを加えましょう。

ロゴの追加は最も効果的な差別化手段です。ExcelやWordの「挿入」タブから画像を追加し、ヘッダー部分に配置します。また、コーポレートカラーを取り入れることで、一貫したブランドイメージを演出できます。

フォントの変更も印象を大きく左右します。ただし、可読性を損なわないよう、本文には明朝体やゴシック体などの標準的なフォントを使用し、見出しやロゴ周辺のみ個性的なフォントを使うバランスが重要です。

クラウド請求書作成ツールとOfficeの使い分け

近年、クラウド型の請求書作成サービスも普及しています。

クラウド請求書サービス Office 比較 選び方「Misoca」や「マネーフォワード クラウド請求書」などのサービスは、インボイス制度や電子帳簿保存法に完全対応しており、自動計算や自動送信機能で業務を効率化できます。一方、Officeを使った作成には、追加コストがかからず、オフライン環境でも作業できるメリットがあります。

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クラウドサービスのメリットと導入コスト

クラウド請求書作成サービスの最大のメリットは、請求業務の自動化です。「Misoca」の場合、請求書の自動作成や自動メール送信機能により、毎月の定期請求を完全に自動化できます。また、会計ソフトとの連携により、仕訳データの自動取り込みも可能です。

「Misoca」は月10枚までの請求書作成なら無料で利用でき、それ以上の場合は初年度無償のプラン15(年額8,800円+税)やプラン100(年額33,500円+税)が用意されています。請求書の郵送代行サービス(210円/通)や、売掛金の回収保証サービスなど、付加価値の高い機能も利用できます。

ただし、クラウドサービスはインターネット接続が必須であり、サービス障害時には作業ができなくなるリスクがあります。また、月額料金が発生するため、請求書発行頻度が少ない事業者にとってはコストパフォーマンスが低くなる可能性があります。

Officeを選ぶべきケースとその理由

Officeでの請求書作成が適しているのは、以下のようなケースです。

  • 請求書の発行頻度が月10枚以下と少ない
  • すでにOfficeライセンスを保有しており、追加コストをかけたくない
  • オフライン環境での作業が必要
  • デザインの自由度を重視したい
  • 既存の業務フローにExcelやWordが組み込まれている

特に個人事業主やフリーランスの方で、取引先が限定されている場合は、Officeテンプレートで十分対応できます。一度テンプレートをカスタマイズしてしまえば、毎回の作成時間は5分程度で済みます。

また、Officeは買い切り型のライセンスも選択できるため、長期的なコストを抑えられます。PCユービックでは、正規品保証付きのOffice製品を格安価格で提供しており、Office Professional Plus 2021が9,900円、Office 2021 Pro Plusダウンロード版が5,500円と、クラウドサービスの年額料金と比較しても非常にリーズナブルです。

インボイス発行業務の効率化テクニック

請求書作成の効率を上げるには、テンプレートの活用だけでなく、業務フロー全体の見直しが重要です。

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請求書作成 効率化 業務フロー 改善方法テンプレートのマスターファイル作成と管理

効率化の第一歩は、自社専用のマスターテンプレートを作成することです。会社情報や登録番号、振込先口座情報などの固定情報をあらかじめ入力したテンプレートを保存しておけば、毎回の入力作業を大幅に削減できます。

マスターファイルは、「読み取り専用」に設定しておくと、誤って上書き保存してしまうリスクを防げます。Windowsの場合、ファイルを右クリックして「プロパティ」から「読み取り専用」にチェックを入れるだけです。

また、取引先ごとにカスタマイズしたテンプレートを作成しておくのも効果的です。定期的に取引のある顧客の場合、宛名や品目をあらかじめ入力したテンプレートを用意しておけば、数量と日付を変更するだけで請求書が完成します。

ファイル命名規則とフォルダ構造の最適化

作成した請求書を効率的に管理するには、一貫したファイル命名規則が不可欠です。推奨される命名規則は「日付_取引先名_請求書番号.pdf」の形式です。例えば「20251115_株式会社サンプル_2025-11-001.pdf」とすることで、ファイル名だけで内容が把握できます。

フォルダ構造は、年度別→月別→取引先別の階層にすると検索しやすくなります。電子帳簿保存法では、検索機能の確保が求められているため、日付・取引先名・金額で検索できる仕組みを整えておくことが重要です。

クラウドストレージを活用すれば、複数のデバイスからアクセスでき、自動バックアップも実現できます。OneDriveやGoogleドライブなどのサービスは、Officeとの連携も優れており、作成したファイルを直接クラウドに保存できます。

定期請求の自動化とリマインダー設定

毎月同じ内容で請求する取引先がある場合、Excelのマクロ機能やOutlookのタスク機能を活用すると便利です。マクロを使えば、ボタン一つで日付や請求書番号を自動更新できます。

また、Outlookのカレンダーに請求書発行日のリマインダーを設定しておけば、発行漏れを防げます。繰り返しタスクとして登録すれば、毎月自動的に通知が届くため、うっかり忘れることがありません。

さらに進んだ自動化を求める場合は、クラウドサービスの導入も検討する価値があります。「Misoca」では請求書の自動作成機能があり、設定した日時に自動的に請求書を作成・送信できます。

電子帳簿保存法への対応とデータ管理

インボイス制度と並行して対応が必要なのが、電子帳簿保存法です。

2024年1月以降、電子取引で受領した取引情報は電子データのまま保存することが義務化されています。Officeで作成した請求書も、適切な方法で保存・管理する必要があります。

電子帳簿保存法の要件を満たす保存方法

電子帳簿保存法では、以下の要件を満たす保存が求められています。

  • 真実性の確保 – データの改ざん防止措置(タイムスタンプや訂正削除履歴の保存)
  • 可視性の確保 – 検索機能の確保(日付・取引先名・金額で検索可能)
  • 見読可能性の確保 – ディスプレイやプリンタで速やかに出力できる環境

Officeで作成した請求書をPDF化して保存する場合、ファイル名に日付・取引先名・金額を含めることで、検索要件を満たせます。また、クラウドストレージに保存すれば、アクセス履歴が自動的に記録されるため、真実性の確保にも役立ちます。

タイムスタンプが必要な場合は、専用のサービスを利用する必要がありますが、売上高が一定規模以下の事業者は、事務処理規程を作成することでタイムスタンプを省略できる特例措置があります。

バックアップ体制の構築と災害対策

電子データは物理的な破損リスクは低いものの、ハードディスクの故障やランサムウェア攻撃などのリスクがあります。重要な請求書データは、必ず複数の場所にバックアップを取りましょう。

推奨されるバックアップ戦略は「3-2-1ルール」です。データを3つのコピーで保管し、2種類の異なるメディア(例:ローカルHDDとクラウド)に保存し、1つは物理的に離れた場所(クラウドストレージ)に置くという方法です。

OneDriveやGoogleドライブなどのクラウドストレージは、自動バックアップ機能があり、ファイルのバージョン履歴も保存されるため、誤って削除や上書きをしてしまった場合でも復元できます。

よくあるトラブルと解決方法

Officeで請求書を作成する際、いくつかの典型的なトラブルが発生することがあります。

事前に対処法を知っておけば、スムーズに問題を解決できます。

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計算ミスを防ぐチェックリスト

手動計算や数式の設定ミスによる計算エラーは、最も避けたいトラブルです。以下のチェックリストを活用しましょう。

  1. 小計の合計が総額と一致しているか確認
  2. 税率8%と10%の区分が正しいか確認
  3. 消費税額の端数処理が適切か確認(切り捨て・切り上げ・四捨五入)
  4. 請求書番号が重複していないか確認
  5. 振込先口座情報が正確か確認

Excelの場合、「数式の検証」機能を使えば、計算式のエラーを発見できます。「数式」タブの「数式の検証」をクリックすると、計算過程を一つずつ確認できます。

PDF化時のレイアウト崩れ対策

ExcelやWordからPDF化する際、レイアウトが崩れることがあります。特に、複雑な表組みや画像を多用している場合に発生しやすい問題です。

対策としては、PDF化前に「印刷プレビュー」で確認することが基本です。プレビュー画面で問題なく表示されていれば、PDF化後も同じレイアウトが維持されます。

また、フォントの埋め込み設定を確認しましょう。Officeの「ファイル」→「オプション」→「保存」から「ファイルにフォントを埋め込む」にチェックを入れることで、受信側の環境でフォントがなくても正しく表示されます。

まとめ:Officeを活用したインボイス対応の実践

インボイス制度への対応は、多くの事業者にとって避けて通れない課題です。しかし、すでに多くの方が使い慣れているMicrosoft Officeを活用すれば、追加コストを最小限に抑えながら、法令に準拠した適格請求書を作成できます。

ExcelとWordそれぞれの強みを理解し、用途に応じて使い分けることが重要です。計算が複雑な請求書にはExcelを、デザイン性を重視する場合はWordを選択しましょう。Microsoftの公式テンプレートを活用すれば、初心者でも簡単にインボイス対応の請求書を作成できます。

さらに効率化を図りたい場合は、マスターテンプレートの作成やファイル管理の最適化、クラウドストレージの活用など、業務フロー全体を見直すことで、請求書作成にかかる時間を大幅に削減できます。

電子帳簿保存法への対応も忘れずに。適切なファイル命名規則とバックアップ体制を整えることで、法令遵守と業務効率化を両立できます。

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