Microsoft 365の法人向けプラン選びで失敗しないために
「うちの会社、Microsoft 365の契約プラン、実は高すぎるかも・・・」
法人向けITソリューションの現場で、こんな声をよく耳にします。Microsoft 365(旧Office 365)は多くの企業で導入されていますが、実は必要以上に高額なプランを契約しているケースが少なくありません。機能過多で使いこなせていない、あるいは逆に必要な機能が不足している状態では、本来の生産性向上というメリットを十分に享受できないのです。
Microsoft 365には多種多様なプランが存在し、その違いを正確に把握するのは容易ではありません。2025年9月現在、最新のプラン体系と機能を理解した上で、自社に最適なプランを選択することが重要です。
本記事では、Microsoft 365の法人向けプランを徹底比較し、自社に最適なプランを見つけるための判断基準を解説します。高額なプランが本当に必要なのか、それとも基本プランで十分なのか、各プランの特徴や価格、選び方のポイントを詳しく見ていきましょう。
Microsoft 365とは?サブスクリプション型サービスの特徴
まずは基本から確認しておきましょう。
Microsoft 365は、Microsoft社が提供するクラウド型のサブスクリプション(定額)サービスです。Word、Excel、PowerPointなどの従来のOfficeアプリケーションに加え、メール(Exchange Online)、オンラインストレージ(OneDrive)、チームコラボレーションツール(Teams)など、ビジネスに必要な多様なサービスをひとつのパッケージで提供しています。以前は「Office 365」という名称でしたが、機能拡張に伴い2020年4月に「Microsoft 365」へと名称変更されました。
従来の買い切り型Officeとの大きな違いは、継続的な支払いモデルであることです。
買い切り型のOffice(Office 2021やOffice 2024など)は一度購入すれば永続的に使用できますが、バージョンアップの際には再度購入が必要です。一方、Microsoft 365はサブスクリプション型で、月額または年額の利用料を支払い続ける限り、常に最新バージョンのアプリケーションとサービスを利用できます。
Microsoft 365の主なメリットは以下の通りです。
- 常に最新バージョンのアプリケーションを利用できる
- 複数デバイス(PC、タブレット、スマートフォン)で利用可能
- クラウドストレージによるファイル共有・共同編集が容易
- セキュリティ機能が充実している
- 導入コストを平準化できる
一方で、サブスクリプション型であるため、支払いを止めるとサービスが利用できなくなる点は注意が必要です。
では、具体的にどのようなプランがあるのでしょうか?
法人向けMicrosoft 365プランの全体像
Microsoft 365の法人向けプランは、大きく分けて「Business」シリーズと「Enterprise」シリーズの2種類があります。
Business シリーズは従業員数300名以下の中小企業向け、Enterprise シリーズは従業員数の制限がなく大企業向けとなっています。それぞれのシリーズ内にも複数のプランが存在し、機能や価格が異なります。
2025年9月現在の主要なプランを整理すると、以下のようになります。
Business シリーズ(中小企業向け・300ユーザーまで)
- Microsoft 365 Business Basic
- Microsoft 365 Business Standard
- Microsoft 365 Business Premium
- Microsoft 365 Apps for business(旧Office 365 Business)
Enterprise シリーズ(大企業向け・ユーザー数無制限)
- Office 365 E1
- Office 365 E3
- Office 365 E5
- Microsoft 365 E3(Office 365 E3を含む)
- Microsoft 365 E5(Office 365 E5を含む)
- Microsoft 365 F3(旧Office 365 F1、現場作業者向け)
- Microsoft 365 Apps for enterprise(旧Office 365 ProPlus)
どうですか? 種類が多くて混乱しますよね。
実は、これらのプランの中には機能がほぼ同じなのに名前だけが異なるものや、一見似ているようで重要な機能に大きな違いがあるものが存在します。自社に最適なプランを選ぶためには、それぞれの特徴をしっかり理解する必要があります。
Business シリーズの詳細比較
まずは中小企業向けのBusiness シリーズの各プランを詳しく見ていきましょう。
Business シリーズは最大300ユーザーまでの利用を想定しており、中小企業や部門単位での導入に適しています。プランによって機能や価格が異なるため、自社のニーズに合わせて最適なプランを選ぶことが重要です。
Microsoft 365 Business Basic
最も基本的なプランで、月額660円(税込)/ユーザーからの利用が可能です。
主な機能は以下の通りです。
- Web版およびモバイル版のOfficeアプリ(Word、Excel、PowerPointなど)
- Exchange Online(ビジネスメール)
- OneDrive for Business(1TB/ユーザー)
- SharePoint Online(イントラネット)
- Microsoft Teams(オンライン会議・チャット)
注目すべき点は、デスクトップ版のOfficeアプリケーションが含まれていないことです。Officeアプリはブラウザ上やモバイルデバイスでのみ利用可能となります。そのため、デスクトップでの本格的なOffice作業が多い企業には不向きです。
メール、ファイル共有、オンライン会議などの基本的なコラボレーション機能が必要で、Officeはブラウザ版で十分という企業に適しています。
Microsoft 365 Business Standard
Business Basicの機能に加えて、デスクトップ版のOfficeアプリケーションが利用できるプランです。月額1,320円(税込)/ユーザーからの利用が可能です。
Business Basicとの主な違いは以下の点です。
- デスクトップ版Officeアプリケーション(Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Publisher、Access)
- 各ユーザー5台のPCまたはMacにインストール可能
- Bookings(予約管理ツール)
一般的なオフィスワークを行う中小企業にとって、最もバランスの取れたプランと言えるでしょう。デスクトップ版Officeの利用が可能なため、オフライン環境でも問題なく作業できます。
Microsoft 365 Business Premium
Business Standardの全機能に加えて、高度なセキュリティ機能とデバイス管理機能が追加されたプランです。月額2,200円(税込)/ユーザーからの利用が可能です。
Business Standardとの主な違いは以下の点です。
- Intune(モバイルデバイス管理)
- Azure Information Protection(情報保護)
- 高度な脅威保護機能
- 条件付きアクセス
- Azure AD Premium P1(高度な認証)
セキュリティ対策に力を入れたい企業や、BYOD(私物デバイスの業務利用)を推進している企業に適しています。特に、機密情報を扱う業種や、リモートワークを積極的に導入している企業には、このプランがおすすめです。
Microsoft 365 Apps for business
デスクトップ版のOfficeアプリケーションのみを利用したい企業向けのプランです。月額990円(税込)/ユーザーからの利用が可能です。
主な機能は以下の通りです。
- デスクトップ版Officeアプリケーション(Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Publisher、Access)
- 各ユーザー5台のPCまたはMacにインストール可能
- OneDrive for Business(1TB/ユーザー)
Exchange Online(メール)やTeams(オンライン会議)などのコラボレーション機能は含まれていないため、これらのサービスを別途用意している企業や、Officeアプリケーションのみを最新版で利用したい企業に適しています。
どうでしょうか? 同じBusinessシリーズでも、プランによって機能や価格に大きな違いがあることがわかりますね。
Enterprise シリーズの詳細比較
次に、大企業向けのEnterprise シリーズを見ていきましょう。
Enterprise シリーズはユーザー数の制限がなく、より高度な機能やセキュリティ対策が含まれています。大規模な組織や、特定の業界規制に対応する必要がある企業に適しています。
Office 365 E1
基本的なクラウドサービスを提供するプランで、月額990円(税込)/ユーザーからの利用が可能です。
主な機能は以下の通りです。
- Web版およびモバイル版のOfficeアプリ
- Exchange Online(ビジネスメール)
- OneDrive for Business(1TB/ユーザー)
- SharePoint Online(イントラネット)
- Microsoft Teams(オンライン会議・チャット)
- Yammer(企業向けSNS)
Business Basicと似ていますが、より大規模な組織向けに最適化されています。デスクトップ版Officeは含まれていないため、クラウドサービスが主な導入目的の企業に適しています。
Office 365 E3
E1の機能に加えて、デスクトップ版Officeアプリケーションと高度なコンプライアンス機能が含まれるプランです。月額2,310円(税込)/ユーザーからの利用が可能です。
E1との主な違いは以下の点です。
- デスクトップ版Officeアプリケーション
- 無制限のメールボックス容量
- データ損失防止(DLP)
- 訴訟ホールド(法的証拠保全)
- 高度なeディスカバリー
コンプライアンス要件が厳しい業界(金融、医療、法律など)の企業に適しています。法的な要件に対応するための機能が充実しているのが特徴です。
Office 365 E5
E3の全機能に加えて、高度な分析ツール、セキュリティ機能、電話システムが含まれる最上位プランです。月額3,630円(税込)/ユーザーからの利用が可能です。
E3との主な違いは以下の点です。
- Power BI Pro(ビジネスインテリジェンスツール)
- Microsoft Defender for Office 365(高度な脅威保護)
- 音声会議
- 電話システム
- 高度なeディスカバリーとコンプライアンス機能
データ分析に力を入れている企業や、最高レベルのセキュリティが求められる企業、また既存の電話システムをクラウドに移行したい企業に適しています。
Microsoft 365 E3/E5
Office 365 E3/E5の機能に加えて、Windows 10/11 Enterprise ライセンスや高度なセキュリティ機能、デバイス管理機能が含まれたプランです。
Microsoft 365 E3は月額3,630円(税込)/ユーザーから、Microsoft 365 E5は月額5,610円(税込)/ユーザーからの利用が可能です。
Office 365 E3/E5との主な違いは以下の点です。
- Windows 10/11 Enterprise ライセンス
- Microsoft Intune(デバイス管理)
- Azure Active Directory Premium
- Microsoft Defender for Endpoint(E5のみ)
Windows環境も含めた統合管理を行いたい大企業や、セキュリティを一元管理したい企業に適しています。
Enterprise シリーズは機能が豊富である分、価格も高くなります。自社に本当に必要な機能を見極めることが重要です。
Microsoft 365 Copilotとは?最新AI機能の概要
2025年9月現在、Microsoft 365の最新機能として注目を集めているのが「Microsoft 365 Copilot」です。
これは、OpenAIの大規模言語モデル(GPT-4)を活用した生成AI機能で、Microsoft 365アプリケーション内で利用できます。文書作成、データ分析、プレゼンテーション作成などの業務を大幅に効率化する可能性を秘めています。
Microsoft 365 Copilotの主な機能は以下の通りです。
- Word:文書の作成・要約・編集・スタイル変更
- Excel:データ分析・パターン発見・数式作成
- PowerPoint:プレゼンテーションの自動作成・デザイン提案
- Outlook:メールの要約・返信案の作成
- Teams:会議の要約・アクションアイテムの抽出
ただし、Microsoft 365 Copilotは標準のMicrosoft 365プランには含まれておらず、追加料金(月額3,300円/ユーザー)が必要です。また、E3/E5などの上位プランでの利用が前提となっています。
AI機能による生産性向上を目指す企業にとっては魅力的な機能ですが、コスト面での検討も必要です。現時点では、特定の業務(文書作成が多い部門、データ分析部門など)の一部のユーザーに限定して導入するのが現実的かもしれません。
自社に最適なプランの選び方
ここまで各プランの特徴を見てきましたが、自社に最適なプランはどのように選べばよいのでしょうか?
以下のポイントを考慮して、最適なプランを選びましょう。
1. 利用人数で選ぶ
まず考慮すべきは利用人数です。
- 300名以下の企業:Business シリーズ
- 300名を超える企業:Enterprise シリーズ
ただし、300名以下でも高度なセキュリティやコンプライアンス機能が必要な場合は、Enterprise シリーズを検討する価値があります。
2. 必要な機能で選ぶ
次に、業務に必要な機能を洗い出しましょう。
- デスクトップ版Officeが必要か?
- メールやオンライン会議の機能は必要か?
- 高度なセキュリティ機能は必要か?
- コンプライアンス対応は必要か?
- Windows OSのライセンスも含めたいか?
例えば、デスクトップ版Officeが必要ない現場作業者には、Business BasicやOffice 365 E1、あるいはMicrosoft 365 F3が適しています。一方、デスクトップ版Officeが必要なオフィスワーカーには、Business StandardやOffice 365 E3が適しています。
3. セキュリティレベルで選ぶ
セキュリティ要件も重要な選定基準です。
- 基本的なセキュリティで十分:Business Basic/Standard、Office 365 E1/E3
- 高度なセキュリティが必要:Business Premium、Office 365 E5、Microsoft 365 E3/E5
特に、リモートワークを推進している企業や、BYOD(私物デバイスの業務利用)を許可している企業は、高度なセキュリティ機能を備えたプランを検討すべきでしょう。
4. コスト効率で選ぶ
最後に、コスト効率も重要な要素です。
必要のない機能が含まれた高額プランを選ぶと、無駄なコストが発生します。逆に、必要な機能が不足したプランを選ぶと、別途ソリューションを導入する必要が生じ、結果的にコストが増加する可能性があります。
また、全社員に同一プランを適用するのではなく、役割や業務内容に応じて異なるプランを組み合わせることで、コスト最適化が可能です。例えば、デスクワークが中心の社員にはBusiness Standard、現場作業が中心の社員にはBusiness Basic、経営層や情報システム部門にはBusiness Premiumというように使い分けることができます。
Microsoft 365の代替手段:永続ライセンスという選択肢
Microsoft 365の月額料金に疑問を感じる企業も少なくありません。「毎月支払いを続けるよりも、一度購入して長く使いたい」というニーズもあるでしょう。
そんな企業には、永続ライセンスのOffice製品という選択肢もあります。
永続ライセンスとは、一度購入すれば継続的な支払いなしで使い続けられるライセンス形態です。Microsoft社からは「Office 2021」や「Office 2024」などの永続ライセンス製品が提供されています。
永続ライセンスのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 一度の支払いで長期間使用できる
- インターネット接続がなくても利用可能
- ライセンス管理が比較的シンプル
一方、デメリットとしては以下の点があります。
- 最新機能へのアップデートがない
- クラウドサービス(Teams、Exchange Onlineなど)が含まれない
- 複数デバイスでの利用に制限がある
永続ライセンスは、クラウドサービスをあまり必要とせず、Office製品を長期間使用する予定の企業に適しています。特に、インターネット環境が不安定な場所での利用や、コスト削減を重視する企業にとっては魅力的な選択肢となります。
PCユービックでは、正規品保証付きのOffice永続ライセンスを格安で提供しています。Office Professional Plus 2021は9,900円から、Office Home & Business 2019は8,800円から、最新のOffice 2024 Home & Businessは38,500円からとなっています。Microsoft 365の年間コストと比較すると、大幅なコスト削減が可能です。
ただし、永続ライセンスを選択する場合は、クラウドサービスやコラボレーション機能をどのように補うかを検討する必要があります。例えば、ファイル共有にはDropboxやGoogle Drive、オンライン会議にはZoomやGoogle Meetなど、他のサービスと組み合わせて利用することになります。
まとめ:自社に最適なMicrosoft 365プランを見つけるために
Microsoft 365の法人向けプランは多種多様で、選択肢が多いがゆえに最適なプラン選びが難しくなっています。本記事では、各プランの特徴や選び方のポイントを解説してきました。
最適なプラン選びのためのステップをまとめると、以下のようになります。
- 利用人数を確認する(300名以下ならBusinessシリーズ、300名超ならEnterpriseシリーズ)
- 必要な機能を洗い出す(デスクトップ版Office、メール、Teams、セキュリティ機能など)
- セキュリティ要件を確認する(基本的なセキュリティか、高度なセキュリティか)
- 役割や業務内容に応じたプランの組み合わせを検討する
- サブスクリプション型と永続ライセンスのどちらが適しているかを検討する
高額なプランが必ずしも最適とは限りません。自社の実際のニーズに合ったプランを選ぶことで、無駄なコストを削減しながら、必要な機能を最大限に活用することができます。
また、Microsoft 365のサブスクリプションモデルがビジネスモデルに合わない場合は、永続ライセンスのOffice製品も検討する価値があります。PCユービックでは、正規品保証付きの永続ライセンスOffice製品を格安で提供しており、Microsoft 365と比較して大幅なコスト削減が可能です。
自社のニーズを正確に把握し、コスト効率と機能のバランスを考慮した上で、最適なソリューションを選択しましょう。
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