Microsoft 365法人プラン選びで失敗しない7つのポイント

法人向けのMicrosoft 365を導入しようと考えたとき、多くの企業担当者が「どのプランを選べばいいのか」と頭を悩ませます。

プラン選びを間違えると、必要な機能が使えなかったり、逆に過剰な機能に無駄なコストを払い続けることになりかねません。

2025年9月現在、Microsoft 365の法人向けプランは複数存在し、それぞれに特徴があります。価格帯も機能も大きく異なるため、自社のニーズに合ったプランを選ぶことが非常に重要です。

Microsoft 365法人プランの基本と種類

Microsoft 365は、クラウド型のサブスクリプション(定額)サービスです。常に最新のOfficeアプリケーションをはじめ、メール、オンラインストレージ、グループウェアなど、業務に役立つ多様な機能・サービスを利用できます。

法人向けのMicrosoft 365プランは、大きく分けて「Business」と「Enterprise」の2種類があります。

Microsoft 365法人プランの種類と比較表Businessプランは中小規模の企業向けで、最大300ユーザーまで利用可能です。一方、Enterpriseプランは大規模企業向けで、ユーザー数に制限がありません。

Businessプランには以下の4種類があります:

  • Microsoft 365 Business Basic – メールやTeamsなどのオンラインサービスが中心
  • Microsoft 365 Business Standard – BasicにデスクトップOfficeアプリが追加
  • Microsoft 365 Business Premium – Standardにセキュリティとデバイス管理機能が追加
  • Microsoft 365 Apps for business – Officeアプリのみのプラン

Enterpriseプランには主に以下の3種類があります:

  • Microsoft 365 F3 – 第一線従業員向けの限定機能プラン
  • Microsoft 365 E3 – 標準的な機能を備えたプラン
  • Microsoft 365 E5 – 最上位の機能を備えたプラン

では、これらのプランから自社に最適なものを選ぶためのポイントを見ていきましょう。

【ポイント1】必要なOfficeアプリケーションを見極める

Microsoft 365を選ぶ最初のポイントは、どのOfficeアプリケーションが必要かを明確にすることです。

基本的なWord、Excel、PowerPointだけでよいのか、それともOutlookやAccessなども必要なのか。必要なアプリケーションによって、選ぶべきプランが変わってきます。

ビジネスシーンで活用されるOfficeアプリケーション例えば、Microsoft 365 Business Basicはデスクトップ版のOfficeアプリケーションを含まないため、主にウェブブラウザ上でOfficeを使用する場合に適しています。

一方、Microsoft 365 Business StandardやPremiumには、デスクトップ版のWord、Excel、PowerPoint、Outlookが含まれています。

私がIT環境構築のコンサルティングをしていると、「ウェブ版のOfficeで十分」と考えていた企業が、実際に使ってみると機能制限に悩まされるケースをよく見かけます。特に複雑な計算式を使うExcelユーザーは、デスクトップ版が必要になることが多いです。

ですから、業務でどのようにOfficeを使用するのかをしっかり分析した上で、適切なプランを選びましょう。

【ポイント2】ユーザー数と予算のバランスを考える

Microsoft 365の料金は、プランによって大きく異なります。2025年9月現在の月額料金(ユーザーあたり)は以下の通りです:

  • Microsoft 365 Business Basic: 約540円
  • Microsoft 365 Business Standard: 約1,360円
  • Microsoft 365 Business Premium: 約2,180円
  • Microsoft 365 Apps for business: 約970円

Enterpriseプランはさらに高額になり、E5プランになると月額約5,600円程度になります。

企業のIT予算計画とコスト管理ユーザー数が多い企業では、1人あたりの料金差が全体の予算に大きく影響します。例えば、50人規模の企業でBasicとStandardの差は月額約41,000円になります。

どうしますか?全社員に同じプランを導入するべきでしょうか?

実は、すべての従業員に同じプランを適用する必要はありません。役割や業務内容に応じて、必要な機能を持つプランを選択することで、コストを最適化できます。

例えば、Officeをヘビーに使用するデスク業務の社員にはStandardを、主に情報共有やコミュニケーションが中心の現場社員にはBasicを、といった具合に使い分けることも可能です。

【ポイント3】セキュリティ機能の必要性を評価する

企業のデータ保護は年々重要性を増しています。Microsoft 365のプランによって、セキュリティ機能には大きな差があります。

特にMicrosoft 365 Business Premiumは、中小企業向けながら高度なセキュリティ機能を備えています。

企業のセキュリティ対策とデータ保護Business Premiumには、以下のようなセキュリティ機能が含まれています:

  • Microsoft Defender for Office 365 – メールの高度な保護
  • Intune – モバイルデバイス管理
  • Azure Information Protection – 情報漏洩防止
  • 条件付きアクセス – アクセス制御の強化

これらの機能は、特に機密情報を扱う企業や、リモートワークを導入している企業にとって非常に重要です。

セキュリティ機能の必要性を判断する際は、以下の点を考慮しましょう:

  • 取り扱うデータの機密性
  • リモートワークの有無
  • BYOD(私物デバイスの業務利用)ポリシー
  • 業界固有のコンプライアンス要件

セキュリティリスクが高いと判断される場合は、Business PremiumやEnterpriseプランの検討をおすすめします。

あなたの会社は、どのレベルのセキュリティが必要でしょうか?

【ポイント4】クラウドストレージの容量を確認する

Microsoft 365には、OneDriveというクラウドストレージサービスが含まれています。プランによって、ユーザーごとに割り当てられる容量が異なります。

Business BasicとStandardでは1ユーザーあたり1TB、Enterpriseプランでは無制限に近い容量が提供されています。

クラウドストレージとデータ管理の様子ファイル共有が多い業務や、大容量のデータを扱う部門がある場合は、十分なストレージ容量が確保されているプランを選ぶことが重要です。

また、OneDriveだけでなく、SharePointというチーム向けのファイル共有・管理サービスも含まれています。SharePointのストレージ容量は組織全体で共有され、基本割当量に加えてユーザーごとに追加の容量が付与されます。

大量の画像や動画ファイルを扱う部署がある場合や、社内文書をすべてクラウド化する予定がある場合は、ストレージ容量を重視したプラン選びが必要です。

ただし、ストレージ容量だけを理由にEnterpriseプランを選ぶのは費用対効果が低いこともあります。必要に応じて追加のストレージを購入する方が経済的な場合もあるでしょう。

【ポイント5】コミュニケーションツールの要件を明確にする

Microsoft 365には、Teamsというコミュニケーションツールが含まれています。チャット、ビデオ会議、ファイル共有などの機能を統合したツールで、リモートワークやハイブリッドワークの環境では特に重宝します。

しかし、Teamsの機能もプランによって差があります。

Teamsを活用したビジネスコミュニケーション例えば、Business BasicとStandardではTeamsの基本機能が使えますが、より高度な会議機能(ウェビナーの開催など)や電話システムとの統合は、上位プランでないと利用できません。

社内外とのコミュニケーション方法や頻度、会議の規模などを考慮して、必要なTeams機能を見極めましょう。

特に注目すべき点として、2025年のMicrosoft 365では、AI機能「Microsoft 365 Copilot」が大きく強化されています。これは、会議の要約作成や文書作成の支援など、AIを活用した生産性向上機能ですが、主にEnterpriseプランでの提供となっています。

AIによる業務効率化を重視する場合は、この点も考慮に入れる必要があるでしょう。

【ポイント6】モバイルデバイス管理の必要性を検討する

スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを業務で活用する企業が増えています。特にBYOD(私物デバイスの業務利用)を許可している場合、デバイス管理は重要な課題です。

Microsoft 365 Business PremiumにはIntuneというモバイルデバイス管理ツールが含まれています。

企業のモバイルデバイス管理とセキュリティ対策Intuneを使用すると、以下のようなことが可能になります:

  • 会社のデータとプライベートデータの分離
  • 紛失・盗難時のリモートワイプ
  • アプリケーションの配布と管理
  • セキュリティポリシーの適用

モバイルデバイスの管理が必要ない小規模企業では、Business BasicやStandardで十分かもしれません。しかし、多くの従業員がモバイルデバイスを使用する場合や、セキュリティリスクが高い業界では、Intuneを含むBusiness Premiumの導入を検討すべきでしょう。

以前、私がサポートした中小企業では、社員のスマートフォン紛失によって顧客情報が漏洩するリスクがありました。Intuneの導入後は、紛失時に会社データのみを遠隔削除できるようになり、セキュリティが大幅に向上しました。

あなたの会社では、どのようなモバイルデバイス管理が必要でしょうか?

【ポイント7】サブスクリプションと買い切り型の比較検討

Microsoft 365はサブスクリプション(定額制)サービスですが、Office製品には買い切り型のライセンスも存在します。2025年現在、Office 2024(LTSC版)が最新の買い切り型製品です。

サブスクリプションと買い切り型、どちらが自社に適しているかも重要な検討ポイントです。

サブスクリプションと買い切り型ライセンスの比較サブスクリプション型のMicrosoft 365には以下のメリットがあります:

  • 常に最新バージョンのアプリケーションが使える
  • 複数デバイスでの利用が可能
  • クラウドサービス(OneDrive、Teams等)が含まれる
  • 初期投資を抑えられる

一方、買い切り型のOfficeには以下のメリットがあります:

  • 一度購入すれば永続的に使用できる
  • インターネット接続が不安定な環境でも問題なく使える
  • 長期的に見るとコスト削減になる可能性がある
  • サブスクリプション管理の手間がない

一般的に、クラウドサービスを活用したい企業や、常に最新機能を使いたい企業にはMicrosoft 365が適しています。一方、単純にOfficeアプリケーションだけを使いたい企業や、長期的なコスト削減を重視する企業には買い切り型のOfficeが適しているかもしれません。

PCユービックでは、正規品保証付きのOffice製品を格安価格で提供しています。Office 2021 Pro Plusのダウンロード版は5,500円から、Office 2024 Home & Businessは38,500円からご利用いただけます。Microsoft 365の月額料金と比較して、長期的なコスト削減を検討されている企業様には、こうした永続ライセンスの選択肢もご検討いただけます。

まとめ:自社に最適なプランを選ぶための判断基準

Microsoft 365の法人プラン選びで失敗しないためには、以下の7つのポイントを総合的に判断することが重要です:

  1. 必要なOfficeアプリケーションを見極める
  2. ユーザー数と予算のバランスを考える
  3. セキュリティ機能の必要性を評価する
  4. クラウドストレージの容量を確認する
  5. コミュニケーションツールの要件を明確にする
  6. モバイルデバイス管理の必要性を検討する
  7. サブスクリプションと買い切り型を比較検討する

これらのポイントを踏まえて、自社の業務内容、規模、予算、セキュリティ要件などを総合的に考慮し、最適なプランを選びましょう。

企業のIT戦略と意思決定プロセスまた、Microsoft 365の導入を検討する際は、以下の点も考慮すると良いでしょう:

  • 既存のITインフラとの互換性
  • 導入後のサポート体制
  • 将来的な拡張性
  • 社員のITリテラシーレベル

最後に、Microsoft 365はサブスクリプション型のため、継続的なコストが発生します。長期的な視点でのコスト比較も重要です。場合によっては、Office製品の永続ライセンスを購入する方が経済的なケースもあります。

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