Windows ライセンス複数PC利用の正しい方法と注意点

Windows ライセンスを複数PCで利用する基本的な考え方

Windowsのライセンスを複数のPCで利用したいと考えたことはありませんか? PCの買い替えや追加購入の際に、既存のライセンスを活用できれば、コスト削減につながります。しかし、ライセンスの利用には明確なルールがあり、違反すると思わぬトラブルを招くことも。

Windowsライセンスの複数PC利用については、エディションやライセンスタイプによって大きく異なります。2025年7月現在、Windows 11を含むWindowsライセンスは基本的に「1ライセンス=1台のPC」という原則で提供されています。

この記事では、IT機器販売に携わる筆者の経験から、Windows ライセンスを複数PCで正しく利用するための方法と注意点を詳しく解説します。ライセンス違反のリスクを避けながら、最適なWindows環境を構築するための知識を身につけましょう。

Windows ライセンスの種類と複数PC利用の可否

Windows ライセンスには複数の種類があり、それぞれ利用条件が異なります。まずは主なライセンスタイプと、複数PC利用の可否について確認しておきましょう。

Windowsライセンスの種類と特徴を示す表Windows ライセンスは大きく分けて以下の種類があります。

  • OEM ライセンス:PCメーカーがプリインストールした状態で提供するライセンス
  • DSP ライセンス:自作PC向けに販売店がハードウェアとセットで販売するライセンス
  • パッケージ版(リテール版):一般小売店やオンラインで購入できる個人向けライセンス
  • ボリュームライセンス:法人・団体向けの大量導入用ライセンス

複数PCでの利用可否は以下のとおりです。

  • OEM ライセンス:購入時のPCにのみ紐づけられ、別のPCへの移行は原則不可
  • DSP ライセンス:インストールしたPCのみで利用可能、別PCへの移行は不可
  • パッケージ版:1台のPCにインストール可能、PC買い替え時に移行可能
  • ボリュームライセンス:契約内容に応じた台数での利用が可能

特に注意したいのがOEMライセンスです。PCメーカー製のパソコンに最初からインストールされているWindowsは、そのPC専用のライセンスとなります。このライセンスを別のPCに移行して使用することはライセンス条項違反となります。

パッケージ版Windowsの複数PC利用ルール

パッケージ版(リテール版)のWindowsライセンスは、最も柔軟性が高いライセンスタイプです。このライセンスを使って複数PCでWindowsを利用する場合のルールを確認しておきましょう。

Windowsパッケージ版ライセンスとPCの関係を示す図パッケージ版Windowsの基本ルールは以下のとおりです。

  • 1つのライセンスで同時に1台のPCでのみ使用可能
  • PC買い替え時には、古いPCからアンインストールすれば新しいPCにインストール可能
  • ライセンス認証はMicrosoftアカウントと紐づけることで管理が容易に
  • 同時に複数のPCでインストールして使用することは不可

パッケージ版のWindowsライセンスは、PC買い替え時の移行が可能ですが、同時に複数のPCで使用することはできません。例えば、自宅PCと会社PCの両方で同じライセンスを使用することはライセンス違反となります。

PC買い替え時のライセンス移行手順は以下のとおりです。

  1. 古いPCからWindowsをアンインストールする(またはPC自体を廃棄・譲渡する)
  2. 新しいPCにWindowsをインストールする
  3. インストール時にライセンスキーを入力するか、Microsoftアカウントでサインインして認証する

Microsoftアカウントとライセンスを紐づけておくと、再インストール時にライセンスキーの入力が不要になるため、管理が容易になります。ただし、同時に複数のPCでアクティベーションすると、ライセンス違反となる点に注意が必要です。

法人向けボリュームライセンスの複数PC利用

法人や団体で複数のPCにWindowsを導入する場合、ボリュームライセンスが最適な選択肢となります。ボリュームライセンスは、複数のPCに同じWindowsを導入する場合のコスト削減や管理効率化を目的としています。

企業でのボリュームライセンス管理の様子Windows Server 2025の例では、ライセンスは「物理コア数」に応じた体系となっており、以下の3つのルールをすべて満たすライセンスが必要です。

  • 物理コアの総数を満たすライセンスが必要
  • 1プロセッサあたり、最低8コア分のライセンスが必要
  • サーバー1台あたり、最低16コア分のライセンスが必要

また、仮想環境上で実行可能なゲストOSの数は、エディションによって異なります。

  • Datacenterエディション:無制限
  • Standardエディション:物理OSとして必要なコアライセンス数を満たすごとに、2個のゲストOSを実行可能

法人でWindowsクライアントOSを複数導入する場合は、Microsoft 365などのサブスクリプションサービスを検討するのも一つの選択肢です。Microsoft 365 Business PremiumやEnterprise E3/E5などのプランには、Windows 10/11のアップグレードライセンスが含まれています。

ボリュームライセンスは初期費用が高くなる傾向がありますが、管理の効率化やコンプライアンスリスクの低減など、トータルコストで考えると中長期的にはメリットがあります。特に50台以上のPC導入を検討している場合は、ボリュームライセンスの検討をおすすめします。

Windows ライセンスの認証と再認証の方法

Windowsライセンスの認証(アクティベーション)は、正規のライセンスであることを確認するための重要なプロセスです。PC買い替えやハードウェア変更時には再認証が必要になることがあります。

Windowsライセンス認証の流れを示す図Windowsの認証方法には主に以下の2つがあります。

  • デジタルライセンス(デジタル資格):Microsoftアカウントと紐づけて管理
  • プロダクトキー:25桁の英数字を入力して認証

Windows 10以降では、Microsoftアカウントとデジタルライセンスを紐づけることで、PC買い替え時の再認証が容易になっています。以下の手順で確認・再認証が可能です。

  1. 設定アプリを開く
  2. 「システム」→「ライセンス認証」を選択
  3. 「Microsoftアカウントでサインインしてデバイスをリンクする」を選択

ハードウェアを大幅に変更した場合や、新しいPCにWindowsをインストールした場合は、再認証が必要になることがあります。この場合、Microsoftアカウントにサインインすることで、以前のデジタルライセンスを引き継ぐことができます。

ただし、OEMライセンスの場合は、マザーボードなど主要なハードウェアを変更すると再認証できなくなる可能性があります。これは、OEMライセンスが特定のハードウェアに紐づいているためです。

ライセンス違反のリスクと対策

Windowsライセンスを不正に使用すると、さまざまなリスクが発生します。特に法人での違反は、法的・財務的なリスクが高まるため注意が必要です。

ライセンスコンプライアンスリスクを示す概念図ライセンス違反によるリスクには以下のようなものがあります。

  • 法的リスク:著作権法違反による法的責任
  • 財務リスク:追徴金や損害賠償の発生
  • セキュリティリスク:不正ライセンスによるセキュリティ更新プログラムの制限
  • 信用リスク:企業イメージの低下

特に法人では、ソフトウェア監査(SAM:Software Asset Management)が実施されることがあり、ライセンス違反が発覚した場合は高額な追徴金が発生する可能性があります。

ライセンスコンプライアンスを確保するための対策としては、以下のような方法があります。

  • ライセンス管理台帳の整備:所有ライセンスと使用PCの対応関係を明確化
  • 定期的な棚卸し:実際の使用状況とライセンス数の確認
  • ライセンス管理ツールの導入:自動的にライセンス使用状況を把握
  • 社内ポリシーの策定:ライセンス使用に関するルールの明確化

法人でのWindows導入では、ボリュームライセンスやMicrosoft 365などの正規ライセンスを適切に購入し、管理することが重要です。初期コストは高くなりますが、コンプライアンスリスクを考慮すると、長期的には適切な投資と言えるでしょう。

格安Windows・Officeライセンスの選び方と注意点

近年、オンラインショップなどで格安のWindows・Officeライセンスが販売されていますが、その選び方には注意が必要です。正規品であっても、ライセンス形態によって利用条件が異なります。

PCユービックでは、正規品保証付きのWindows・Officeソフトウェアを格安価格で提供しています。2025年6月現在、Windows 11 ProやWindows 11 Home、Office Professional Plus 2021、Office Home & Business 2019などが取り扱われています。

格安ライセンスを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

  • 正規品保証の有無:アクティベーションが確実に行えるか
  • サポート体制:問題発生時のサポート対応はあるか
  • ライセンス形態:OEM、DSP、リテールなど、どの形態のライセンスか
  • 永続版かサブスクリプションか:一度購入すれば永続的に使えるのか、定期的な支払いが必要か

PCユービックの商品には、すべて正規認証保証が付いており、万一商品に不具合や相違があった場合には、返品または交換による対応が行われます。また、インボイス制度に対応した適格請求書をPDF形式で発行可能であり、法人・団体からの注文にも対応しています。

格安ライセンスを購入する際の注意点としては、以下のような点があります。

  • ライセンス条項の確認:どのような条件で使用できるのか確認
  • 販売元の信頼性:実績や評判のある販売元から購入
  • アクティベーション保証:認証できなかった場合の対応を確認
  • サポート期間:Microsoftのサポート期間を確認

PCユービックでは、ライセンスキーはメールで納品され、パッケージ製品は追跡可能な郵送で配送されます。価格帯は、Windows製品が8,800円~9,900円、Office製品が5,500円~38,500円となっています。

まとめ:Windowsライセンスの複数PC利用を適切に行うために

Windowsライセンスの複数PC利用については、ライセンスタイプによって大きく条件が異なります。ここまでの内容を整理しておきましょう。

  • OEMライセンス:購入時のPCにのみ紐づけられ、別PCへの移行は原則不可
  • パッケージ版:1台のPCにインストール可能、PC買い替え時に移行可能(同時使用は不可)
  • ボリュームライセンス:契約内容に応じた台数での利用が可能

個人ユーザーがコストを抑えながら正規のWindowsを利用するには、パッケージ版を購入し、PC買い替え時に適切に移行する方法が最適です。Microsoftアカウントとデジタルライセンスを紐づけておくと、再認証が容易になります。

法人ユーザーの場合は、導入台数に応じてボリュームライセンスやMicrosoft 365などのサブスクリプションサービスを検討するのがおすすめです。ライセンス管理の効率化やコンプライアンスリスクの低減につながります。

いずれの場合も、ライセンス条項を遵守し、適切な使用方法を守ることが重要です。不明点がある場合は、Microsoftの公式サイトやライセンス販売元に確認するようにしましょう。

正規のWindowsライセンスを適切に管理し、安全かつ効率的なPC環境を構築しましょう。

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