Office 365と永続版の基本的な違いとは?
Officeソフトを導入する際、多くの方が「Office 365」と「永続版Office」のどちらを選ぶべきか迷われることでしょう。両者の違いを理解することは、あなたのニーズに合った最適な選択をするために非常に重要です。
まずは基本的な違いから見ていきましょう。
永続版Officeとは、一度購入すれば期限なく使い続けられるライセンス形態です。Office 2021やOffice 2024などの買い切り型製品がこれに該当します。一方のOffice 365(現在のMicrosoft 365)は、月額または年額の料金を支払い続ける限り利用できるサブスクリプション型のサービスです。
この違いは単なる支払い方法の違いだけではありません。実は機能や更新方法、利用できるデバイス数など、様々な点で大きく異なっているのです。
では、あなたのビジネスや個人利用に最適なのはどちらでしょうか?それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
料金モデルと総コストの比較
Office製品を選ぶ際、多くの方がまず気になるのは価格です。永続版とサブスクリプション版では料金体系が根本的に異なります。
永続版Officeは一度購入すれば、そのバージョンを無期限で使い続けることができます。2025年7月現在、Office Home & Business 2024の価格は約38,500円、Office Professional Plus 2021のOEM版は約9,900円で提供されています。初期投資は大きいものの、長期的に見れば追加費用は発生しません。
一方、Microsoft 365(旧Office 365)は月額または年額のサブスクリプション料金を支払う形態です。個人向けのMicrosoft 365 Personalは年間約21,300円、ビジネス向けのプランはユーザーあたり月額1,300円〜5,600円程度と幅広い価格帯があります。
単純に計算すると、サブスクリプション版は約2年で永続版の価格を超えることになります。しかし、これだけで判断するのは早計です。含まれる機能やサービスが大きく異なるからです。
どちらが経済的かは、利用期間や必要な機能、利用するデバイス数などによって変わってきます。例えば、3年以上同じバージョンを使い続ける予定で、基本機能だけで十分なら永続版が経済的です。一方、常に最新機能を使いたい、複数デバイスで利用したい、クラウドサービスを活用したいなら、サブスクリプション版の方がコストパフォーマンスに優れているでしょう。
あなたのビジネスにとって、どちらが本当にコスト効率が良いのでしょうか?
含まれる機能とサービスの違い
永続版Officeとサブスクリプション版のMicrosoft 365では、利用できる機能やサービスに大きな違いがあります。この違いが実際の業務効率や生産性に直結するため、しっかり理解しておくことが重要です。
永続版Officeには、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなどの基本的なOfficeアプリケーションが含まれています。Office Home & Business 2024には、これらの基本アプリに加えてOneNoteも含まれています。購入時のバージョンの機能を使い続けることができますが、新機能は追加されません。
一方、Microsoft 365には基本的なOfficeアプリケーションに加えて、以下のような追加機能やサービスが含まれています:
- OneDriveの大容量ストレージ(1TB以上)
- Microsoft Teams(ビデオ会議・チャットツール)
- SharePoint(社内情報共有・管理ツール)
- Exchange Online(ビジネスメール・カレンダーサービス)
- 常に最新の機能へのアクセス
- AI機能(2025年最新のCopilot機能など)
- 高度なセキュリティ機能(プランによる)
特に2025年現在、Microsoft 365に搭載されているAI機能「Microsoft Copilot」は、文書作成や分析作業を大幅に効率化する革新的なツールとして注目されています。この機能は永続版には含まれていません。
また、Microsoft 365はクラウドベースのサービスなので、複数のデバイスからアクセスでき、リアルタイムでの共同編集も可能です。これはリモートワークやチーム作業において大きなメリットとなります。
永続版Officeは基本機能に焦点を当てたシンプルなソリューションである一方、Microsoft 365は包括的なビジネスプラットフォームとして進化しています。どちらが良いかは、あなたのビジネスニーズによって異なるでしょう。
アップデートとサポート期間の違い
ソフトウェアを長期的に利用する上で、アップデートとサポート期間は非常に重要な要素です。永続版Officeとサブスクリプション版のMicrosoft 365では、この点でも大きく異なります。
永続版Officeの場合、購入したバージョンのセキュリティアップデートや不具合修正は提供されますが、新機能の追加はありません。また、マイクロソフトの製品サポート期間は限られています。例えば、Office 2021のメインストリームサポートは2026年10月までとなっており、その後はセキュリティアップデートのみの延長サポート期間に入ります。
最新の永続版であるOffice 2024も、同様に5年程度のメインストリームサポート期間が設定されています。サポート期間が終了すると、セキュリティ上のリスクが高まるため、新しいバージョンへの買い替えを検討する必要が出てきます。
一方、Microsoft 365はサブスクリプション契約が続く限り、常に最新バージョンのOfficeアプリケーションを利用できます。新機能は随時追加され、セキュリティアップデートも継続的に提供されます。サポート期間を気にする必要がなく、常に最新かつ安全な環境で作業できるのが大きなメリットです。
2025年現在、Microsoft 365では定期的に新しいAI機能や生産性向上ツールが追加されており、これらの最新機能にアクセスできるのはサブスクリプションユーザーのみです。特にビジネスにおいて競争力を維持するためには、こうした最新機能へのアクセスが重要になってきています。
永続版を選ぶ場合は、サポート終了時期を見据えた計画が必要です。一方、Microsoft 365なら常に最新の状態が維持されるため、長期的な計画が立てやすいというメリットがあります。
あなたのビジネスにとって、どちらのアップデート体制が適しているでしょうか?
利用できるデバイス数と互換性
複数のデバイスでOfficeを使いたい方にとって、ライセンスごとに利用できるデバイス数は重要な検討ポイントです。永続版とサブスクリプション版では、この点でも大きな違いがあります。
永続版Officeは通常、1つのライセンスで2台のデバイス(PCまたはMac)にインストールできます。例えば、Office Home & Business 2024を購入すると、自宅のPCと職場のPCなど、2台までインストールが可能です。ただし、同時に使用できるのは1台のみという制限があります。
一方、Microsoft 365 Personalでは1ユーザーあたり5台のPCまたはMac、5台のタブレット、5台のスマートフォンにインストールできます。Microsoft 365 Familyなら、最大6人のユーザーがそれぞれ5台ずつのデバイスにインストールできるため、家族全員で利用する場合はかなりお得です。
ビジネス向けのMicrosoft 365プランでも、1ユーザーあたり複数のデバイスにインストールできるため、オフィスのPC、自宅のPC、出張先で使うノートPCなど、様々な環境で同じアカウントからOfficeを利用できます。
また、互換性の面でも違いがあります。Microsoft 365はクラウドベースのサービスなので、Windows、Mac、iOS、Androidなど、異なるプラットフォーム間での互換性が高く、どのデバイスからでもシームレスにファイルにアクセスできます。
永続版Officeも基本的にはWindows版とMac版が提供されていますが、モバイルデバイス向けの完全な機能は含まれていません。モバイルデバイスでの編集機能を使うには、別途Microsoft 365のサブスクリプションが必要になる場合があります。
複数のデバイスを使い分ける方や、家族・チームでOfficeを共有したい方にとっては、Microsoft 365の方が柔軟性が高いと言えるでしょう。一方、利用するデバイスが限られている方には、永続版でも十分かもしれません。
クラウド連携とコラボレーション機能
現代のビジネス環境では、チームでの共同作業やリモートワークが当たり前になっています。そのため、クラウド連携やコラボレーション機能の有無は、Office製品を選ぶ上で非常に重要なポイントとなります。
永続版Officeでも基本的なクラウドストレージの利用は可能ですが、無料のOneDriveアカウントで提供される5GBの容量に限定されます。また、リアルタイムでの共同編集機能は制限されており、Microsoft Teamsなどのコラボレーションツールは含まれていません。
一方、Microsoft 365では、以下のような充実したクラウド連携とコラボレーション機能が提供されています:
- OneDriveの大容量ストレージ(個人向けプランで1TB、ビジネスプランではユーザーあたり1TB以上)
- リアルタイムでの共同編集機能(複数人が同時に同じ文書を編集可能)
- Microsoft Teams(ビデオ会議、チャット、ファイル共有が統合されたコラボレーションプラットフォーム)
- SharePoint(社内ポータルや情報共有サイトの構築・管理)
- Exchange Online(ビジネスメール、共有カレンダー、連絡先管理)
特に2025年現在、リモートワークやハイブリッドワークが定着する中で、これらのコラボレーション機能の重要性はますます高まっています。Microsoft Teamsは単なるビデオ会議ツールではなく、ドキュメント共有や共同編集、プロジェクト管理など、チームワークに必要な機能が統合されたプラットフォームへと進化しています。
永続版Officeでも、別途Microsoft Teamsの無料版を利用することは可能ですが、機能制限があり、ビジネスでの本格的な活用には限界があります。
チームでの共同作業が多い企業や、リモートワークを積極的に取り入れている組織にとっては、Microsoft 365のコラボレーション機能は大きな価値を持ちます。一方、個人作業が中心で、共同編集やクラウドストレージの大容量が不要な場合は、永続版Officeでも十分かもしれません。
セキュリティと管理機能の違い
企業でOffice製品を導入する際、セキュリティ対策や管理機能は非常に重要な検討ポイントです。永続版とサブスクリプション版では、この点でも大きな違いがあります。
永続版Officeの場合、基本的なセキュリティアップデートはサポート期間内に提供されますが、高度なセキュリティ機能や集中管理ツールは含まれていません。各PCに個別にインストールする形となるため、大規模な組織での一元管理が難しいという課題があります。
一方、Microsoft 365(特にビジネス向けプラン)には、以下のような高度なセキュリティ機能と管理ツールが含まれています:
- 多要素認証(MFA)によるアカウント保護
- データ損失防止(DLP)ポリシーの設定
- メールの高度な脅威保護
- モバイルデバイス管理(MDM)
- 集中管理コンソールによるユーザーとライセンスの一元管理
- セキュリティコンプライアンスセンターによる監視と報告
特にMicrosoft 365 Business PremiumやEnterprise E5などの上位プランでは、さらに高度なセキュリティ機能が提供されており、ランサムウェアやフィッシング攻撃などの最新の脅威から組織を守るための包括的な保護が含まれています。
2025年現在、サイバーセキュリティの脅威は日々進化しており、企業はより高度な保護対策を求められています。Microsoft 365のセキュリティ機能は常に更新され、最新の脅威に対応できるよう進化し続けているのが大きな強みです。
また、管理面でも大きな違いがあります。Microsoft 365では、管理者コンソールからユーザーアカウントの追加・削除、ライセンスの割り当て、セキュリティポリシーの設定などを一元的に行うことができます。これにより、IT管理者の負担を大幅に軽減できます。
セキュリティリスクの高い業界や、コンプライアンス要件の厳しい組織、また多数のユーザーを管理する必要がある中〜大規模企業にとっては、Microsoft 365のセキュリティと管理機能は非常に価値があると言えるでしょう。
導入方法と移行のポイント
Office製品の導入方法は、永続版とサブスクリプション版で異なります。それぞれの特徴と、移行する際のポイントを見ていきましょう。
永続版Officeの導入方法
永続版Officeの導入は比較的シンプルです。PCユービックなどの正規販売店から購入したライセンスキーを使用して、マイクロソフトの公式サイトからソフトウェアをダウンロードしインストールします。パッケージ版を購入した場合は、同梱のDVDからインストールすることも可能です。
永続版Officeは一度購入すれば追加費用なく使い続けられますが、新しいバージョンが出た際には別途購入する必要があります。古いバージョンからのアップグレード割引が適用される場合もありますが、基本的には新規購入となります。
Microsoft 365の導入方法
Microsoft 365は、マイクロソフトの公式サイトまたは正規販売パートナーを通じて契約します。サブスクリプションを開始すると、管理者ポータルからユーザーアカウントを作成し、各ユーザーにライセンスを割り当てることができます。
ユーザーは割り当てられたアカウントでサインインし、Office.comからアプリケーションをインストールします。クラウドベースのサービスなので、インターネット接続があれば、どこからでも自分のアカウントにアクセスできます。
Microsoft 365は月額または年額の料金を支払い続ける必要がありますが、常に最新バージョンが利用でき、新機能も自動的に追加されます。バージョンアップのための追加購入は不要です。
移行のポイント
既存の環境から新しいOffice環境に移行する際は、以下のポイントに注意しましょう:
- データの互換性:新しいバージョンでも古いファイル形式が開けるか確認
- カスタマイズ設定:テンプレートやマクロなど、カスタマイズした設定の移行
- メールデータ:Outlookを使用している場合、メールデータの移行計画
- トレーニング:新機能や変更点について、ユーザーへの教育・トレーニング
- ライセンス管理:特にMicrosoft 365の場合、ユーザーアカウントとライセンスの管理体制
永続版からMicrosoft 365への移行を検討している場合、まずは少数のユーザーでパイロット導入し、問題点を洗い出してから全社展開するのがおすすめです。また、Microsoft 365には様々なプランがあるため、自社のニーズに合ったプランを選択することが重要です。
導入時のサポートが必要な場合は、マイクロソフトの正規パートナーやIT支援サービスを利用することで、スムーズな移行が可能になります。
2025年最新!どちらを選ぶべきか?企業規模別おすすめプラン
2025年現在の状況を踏まえ、企業規模別に最適なOffice製品を選ぶポイントをご紹介します。
個人事業主・小規模事業者(1〜10名程度)の場合
小規模な事業者の場合、コスト効率と必要最小限の機能のバランスが重要です。
- 永続版がおすすめの場合:基本的なOfficeアプリケーションのみを使用し、クラウドサービスやコラボレーション機能をあまり必要としない場合。PCの入れ替えサイクルが長く、3年以上同じバージョンを使い続ける予定がある場合。
- Microsoft 365がおすすめの場合:リモートワークや外出先での作業が多い場合。複数のデバイスでOfficeを使いたい場合。チームでのファイル共有や共同編集が必要な場合。
小規模事業者向けのおすすめプランは、永続版ならOffice Home & Business 2024、サブスクリプションならMicrosoft 365 Business Basicまたは Business Standardです。特に外部とのやり取りが多い場合は、メール機能が充実したBusiness Standardがおすすめです。
中規模企業(10〜100名程度)の場合
中規模企業では、業務効率化とセキュリティのバランスが重要になります。
- 永続版がおすすめの場合:業務内容が比較的固定的で、Office製品の基本機能のみで十分な部門がある場合。例えば、データ入力専門の部署などには、永続版の導入も検討できます。
- Microsoft 365がおすすめの場合:部門間のコラボレーションが多い場合。セキュリティ要件が高い場合。リモートワークを推進している場合。IT管理の効率化を図りたい場合。
中規模企業向けのおすすめプランは、Microsoft 365 Business StandardまたはBusiness Premiumです。特にセキュリティリスクが懸念される場合は、高度なセキュリティ機能を備えたBusiness Premiumが適しています。
大企業(100名以上)の場合
大企業では、スケーラビリティ、セキュリティ、コンプライアンスが重要な要素となります。
- 永続版がおすすめの場合:特殊な業務環境(インターネットに接続できない環境など)で使用する場合。固定的な業務に特化した端末に導入する場合。
- Microsoft 365がおすすめの場合:ほとんどの大企業にとって、Microsoft 365 Enterpriseプランが最適です。高度なセキュリティ機能、コンプライアンス機能、管理機能が必要とされるためです。
大企業向けのおすすめプランは、Microsoft 365 E3またはE5です。特に金融機関や医療機関など、高度なセキュリティとコンプライアンス要件がある業界では、最上位プランのE5が適しています。
2025年の最新トレンドを踏まえた選択ポイント
2025年現在、以下のトレンドを考慮した選択が重要です:
- AIとの統合:Microsoft 365には最新のAI機能「Microsoft Copilot」が統合されており、文書作成や分析作業を大幅に効率化できます。AIを活用した業務効率化を検討している企業には、Microsoft 365が圧倒的に有利です。
- ハイブリッドワーク対応:オフィスワークとリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークが定着する中、場所を選ばず利用できるクラウドサービスの価値が高まっています。
- セキュリティ脅威の高度化:サイバー攻撃が高度化する中、常に最新のセキュリティ対策が適用されるMicrosoft 365のメリットは大きいと言えます。
総合的に見ると、多くの企業にとってMicrosoft 365のサブスクリプションモデルが最適な選択となるケースが増えています。特に業務のデジタル化やリモートワークを推進している企業には、Microsoft 365の包括的な機能が大きな価値をもたらすでしょう。
ただし、特定の条件(インターネット接続が限られた環境、長期間同じバージョンを使い続ける予定がある、基本機能のみで十分など)に該当する場合は、永続版Officeも十分に検討に値する選択肢です。
まとめ:あなたのビジネスに最適な選択は?
Office 365(Microsoft 365)と永続版Officeの違いについて詳しく見てきました。最後に、選択のポイントを整理しておきましょう。
永続版Officeは、一度購入すれば追加費用なく使い続けられるため、長期的に同じバージョンを使用する予定がある場合にコスト効率が良いでしょう。基本的なOfficeアプリケーションの機能で十分であれば、永続版も十分に実用的な選択肢です。
一方、Microsoft 365は月額または年額の料金が継続的に発生しますが、常に最新機能が利用でき、複数デバイスでの利用、大容量クラウドストレージ、コラボレーションツールなど、多くの付加価値があります。特にチームでの共同作業が多い場合や、リモートワークを活用している場合には大きなメリットがあります。
2025年現在のビジネス環境を考えると、多くの企業にとってMicrosoft 365の柔軟性と機能性は、業務効率化とデジタルトランスフォーメーションを推進する上で大きな武器となるでしょう。特にAI機能やセキュリティ機能の強化が進む中、常に最新の技術を活用できるサブスクリプションモデルの価値は高まっています。
ただし、最終的な選択は、あなたのビジネスの規模、業務内容、予算、ITインフラなど、様々な要素を総合的に判断する必要があります。場合によっては、一部の部門や用途には永続版、他の部門にはMicrosoft 365というハイブリッドな導入も検討価値があるでしょう。
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